2015年08月06日

安房直子さん語り

昨日、なんとなく娘と安房直子さん作品について何があったか語り合いました。

娘「森野屋のジャム、あれ、瓶に『レッテル』を貼るんだよね。『レッテル』って言葉がなんか凄いよね」

これは『あるジャム屋の話』。鹿がジャムの「ラベル」ではなく「レッテル」を描くという表現が安房直子さん独特な感じ。

「おばあさんが針刺しをくれる話。これを投げて、みたいな内容でさ」
わたし「亀がお嫁さんにするとか言って、女の子をさらってきたっていう話じゃなかった?」

『日暮れの海の物語』です。読み直したらちょっと違ってました。女の子はさらわれたのではなく、亀に追われていました。人魚姫を思い出す悲しい話。昔話なら亀は王子だったかもしれない。安房直子さんの物語は切なく悲しく終わる。

「バームクーヘン焼いてたよね、べにばらホテル」

『べにばらホテルのお客』は少し長めで、確かきつねが出てくる。自分のブログに感想がありました。読み直したいけど、家にないのが残念。

娘「暖炉でスープ作る話あった」
わたし「違う違う、暖炉じゃなくてストーブ」
『火影の夢』は一番好きな作品。異国の不思議なストーブを燃やすと女の人が現れ、スープを作ってくれる。全部飲んではいけないと言われているけども、飲み干してしまって...。この作品に出てくる魚の首飾りにずっと憧れています。腕輪でもいいな。


わたし「『雨の日はレモン色のかさをさしましょう』って、青いかさ作ってたけど売れなくなった話とか」
『青い花』は教科書に載っていたはず。一生話とタイトルを忘れない。


娘「鍋持って豆腐買いに行きたかったな。それだけがしてみたかった」
わたし「油揚げですずめがお稲荷さん作ったの覚えてる。あれが一番良かった」
わたし「豆腐で鍋やるのもあったね」
娘「『ひぐれのラッパ』、怖い話だった」
娘「高野豆腐の話もあった」
『ねこじゃらしの野原ーとうふ屋さんの話』(『すずめのおくりもの』、『ねずみの福引き』、『ひぐれのラッパ』、『星のこおる夜』)。連作短編で、それぞれとうふ屋さんの家族が出会う不思議な話。とうふ料理が美味しそう。ラッパだけはぞっとする怖さ。灰色の世界と金色のラッパのコントラスト。『星のこおる夜』はタイトルも素敵。お礼にもらった凍った星のかけら、欲しい。

娘「いたちがローラスケートするやつ」
『風のローラースケート』も連作短編。いたちとローラースケートという面白い取り合わせ。ローラースケートを履いて逃げるいたちが盗んだ手作りベーコンが美味しそう。ゆきのしたホテルの話もいいですね。


わたし「青いアイシャドウ塗ると花畑が見える話、知らない?」
『夢の果て』。この終わり方、安房直子さんらしい感じがします。すーっと異世界へ行ってしまう。夢中になっていつのまにか違う世界へ踏み込んでしまい、それっきりというお話は幾つかあります。

わたし「うさぎのぬいぐるみとエレベーター乗る話」
『空にうかんだエレベーター』。これ、大好きです。うさぎのぬいぐるみが女の子のものになって嬉しい。汚れても大切なもの。

娘「木の穴みたいのに吸い込まれちゃうのもあった」
『野の音』。これは怖いお話。

娘「あやとりの話、あったね」
「なんか暗くて悲しい話多いよね」
『青い糸』もよく覚えている。『夢の果て』も青だったし、憧れは青い色で描かれるのだろうか?  憧れた空想の相手の元へ取り込まれて行ってしまう。それがごく自然に行ってしまう。そういう世界へ行ってしまうと戻ることはなく。安房直子さんの世界。

娘「帽子屋の話、覚えてる」
「トルコ帽でしょ」
『ライラック通りのぼうし屋』。トルコ帽というのがなんだかいい。実際トルコ帽なんて見たことないです。


娘「女の人が窓を磨く話、そこしか覚えてない。なんだっけ」
これ、わかりません。あったような感じもする。娘が「安房直子さんじゃないかも」と言うけど、窓を磨く女の人というキーワードしか思い出せないとのこと。ああ、気になる。なんだっけ。
久々に安房直子さんの本出してきて、読んでます。美味しそうな描写がたくさん。家にないのは今度図書館で借りてこよう。





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2013年03月12日

『遠い野ばらの村』

遠い野ばらの村 (偕成社文庫)
安房 直子
偕成社 ( 2011-03-17 )
ISBN: 9784036527106


 「久しぶりに音読の宿題がある」と子どもが言うので、その音読を聞いていました。聞いたことあるお話だ……と思って作者を見ると安房直子さんの「初雪のふる日」でした。最近「銀のくじゃく」が読みたくなって出しておいたけれど、「初雪のふる日」が載っている『遠い野ばらの村』のほうを先に読むことに。教科書の作品よりも、「海の館のひらめ」や「ひぐれのお客」が気に入っていますが、猫を飼い始めてから「猫の結婚式」を読むと、ちょっと気になりました。よくうちに来るよごれた黒猫(うちではくろすけと呼んでいる)が、白い猫ではないけどうちの飼い猫白黒のメス、ニヤをお嫁さんにしてどこかに行ってしまう・・・というのを想像してしまった。猫の町に行ってしまったら、いやだな、と。昔読んだのとは違う印象を持ったのが面白く感じました。


 安房直子さんのお話はずっと教科書に載り続けているんだな〜と思うと、とてもうれしい。わたしもちょうど子どもと同じ小学生のころ、安房さんの「青い花」が教科書に載っていて、それから図書館で借りて読み、大学生のころ、古本屋さんで見つけて数冊購入して楽しみ、そのあとまた子どもが読むのを聞いたり。短編ですぐに読めるけども、色の描写があざやかで、お料理が美味しそうで、ふと引き込まれる異世界にどきどきする。

 最後に収録されている『エプロンをかけためんどり』は切なくも希望があるお話。母親が亡くなり、病気になった父親と3人の子供の下にやってきたエプロンをかけためんどり。食事を作り、掃除をし、縫い物をする。そして何より長女の初美に「魔法」を見せてくれる。最初のころこそありがたがっていた父親の三十郎だが、だんだんそのめんどりの存在がうとましくなり、新しい妻を迎えることにする。三十郎の思惑にめんどりは気づいているのだけど、その運命に抗うことなく受け入れる。哀しいけれど、それは仕方がないこと? 新しい母親ができるというのはいいことなのかもしれないし、いつまでもめんどりの世話になるのも普通ではないのかもしれない。それでも、めんどりと初美には特別な絆を感じさせる終わり。三十郎が最初は感謝していたのに、子どもが綿鳥に懐いているのが面白くない、おかずが卵焼きと漬物なのも気に入らない。その人間の気持ちの変化もわかる気もします。

 
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2013年01月26日

ひめねずみとガラスのストーブ



今日は寒くて、夕方まで雪降りだった。さらさらの粉雪で、風も強く、いつもと違った積もり方をする。車と車の間、屋根の重なるところ、石垣の脇など、吹き溜まりになっている。全然雪がないところもあれば、膝下まで吹きつけて積ってるところもある。


 寒い日にほっと暖めるストーブのお話。安房直子さんの物語はだいたい読んでいるものの、絵本で読むことは殆どなかった気がする。降矢ななさんの重厚な感じのタッチが本当によくあっている。

 寒い日にガラスのストーブを買った風の子フーは、ひめねずみと出会って、ストーブを囲み楽しい時間を過ごす。お茶を飲んだり、焼きリンゴをたべたり。そんなある日、北の国から来た風の女の子に出会い、フーは北の国へ行ってみたくなる……。

 描写が素敵。ガラスのストーブ、みかん色の火。その寒い季節の暖かい場面の挿絵とてもきれい。そのストーブにあたってみたいな、ひめねずみとのお茶が飲みたいなと思う。
 しかし、その暖かさから、フーの旅立ちでまた違う気持ちを呼び起こす。フーとひめねずみの別れ。新しい世界へ出ていく人を見送る気持ち。残されるものの寂しさ。そしてフーは帰ってきたけども、ストーブは同じでも以前とは違う場所になってしまっている。ひめねずみはいるけども、あの時のひめねずみはいない。もうもとのようなストーブを囲む時間はなくなってしまった。
 フーは出ていくときは、残されるものの寂しさを考えなかったと思う。ただだ新しい世界が楽しみで。戻ってきたときに、今度は残されてしまった寂しさを知る。その気持ちが、昔、自分もフーのようだったと思い出した。誰かと出会い、別れることを思い出す物語。絵も話に合っています。
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2008年01月20日

『ねこじゃらしの野原』

 ねずみ年です。ねずみといえば一昨年のねずみ増殖騒動でさらにまた嫌いになりましたが、マダムHelenaの極楽Librarian日記「ねずみのおみくじ」での企画を楽しく読んでいたら、そういえば、と思い出したのが『ねこじゃらしの野原』です。

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2006年10月05日

『天の鹿』

天の鹿

『天の鹿』 安房直子作 スズキコージ絵 ブッキング

 この本はもともと筑摩書房で出版されていたそうで、初版発行は1979年。残念ながら、近所の図書館には所蔵されていなかったのと、長らく絶版だったためにこの物語に初めて出会ったのは『安房直子コレクション』の一篇としてでした。もともとスズキコージの絵だと知り、挿絵も物語もともに気に入ってしまった一冊です。

 鹿討の名人清十さんがある日出会ったみごとな鹿。その鹿に連れられて清十さんは鹿の市へ。そこにいられるのはきっかり一時間。鹿の市の品々、値段はどれも金貨一枚。清十さんはもらって金貨で何を買おうか悩みながら、三人娘のことを思い浮かべて品物を選びます。そして、三人の娘たちも次々と鹿と出会い、そして鹿の市へいくのですが――。

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2006年05月30日

野の味と『あるジャム屋の話』

オンライン書店ビーケーワン:安房直子コレクション 5
『あるジャム屋の話』が収録されています。
安房直子コレクション5 安房直子作 偕成社


 まもなく梅雨シーズンなので春ももう終わりかもしれない。春ならではの味もそろそろ終わりになりそう。先日、摘んできた「いたどり」をジャムにしました。すかんぽとも言われるこの野草は酸味があるので、皮をむいたあとに水にさらしすぎないようにして砂糖を加えて煮詰めます。(地元の方々は完全に酸味を抜いて、油いためなどで食すことが多いです)鮮やか、とは言いませんがキウイグリーンのジャムが出来上がり。ジャムを作ってみたら思い出したのが『あるジャム屋の話』

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2005年10月24日

魔法の品の持ち主は?(『奥さまの耳飾り』)

 耳につける飾り――耳飾りでしょう。魔法の品としては首飾りや指輪のほうが有名のように感じます。耳飾りってはっと気がつくとなくしてしまったりするものですから。
 わたしも10代のころ、耳飾りとは言いませんでしたが、ピアスにとても憧れました。当時のバイト先のお姉さんがダイヤのピアスをしていたのです。まだあまりピアスが主流でなかったので(地方だったからもあるでしょうが)、ごつごつした留め金がない耳飾りというのはとてもすっきりきれいに見えました。わたしもああいうのをしたら……なんて思っては眺めていたので、「ピアスしてみたら?」とお姉さんが勧めてくれるのです。やっぱり、痛そうだし、怖いような気もする。家族には一応「本当に開けるの?」と心配されました。当時は「体に穴を開けるなんて」という意識も多かったものです。あまり気にせず、紹介されたお店(輸入物のショップ? ピアスのほかに外国製のバックとか靴売っていたけどどう考えても高校生のわたし向けの店ではなかったです)で開けてもらいました。なぜか両耳ではなく片耳に開けたかったので、片方に二つ開けました。今思うとあまりおしゃれでもないですね。(その数年後にもう片方にもう一つ開けました。やっぱりバランスが悪かったのです。)
 最初は本当にピアスをしていることが自分の意思の表れのように気に入っていました。そんな当時を思い出させたのがこの物語、『奥さまの耳飾り』
 

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2005年09月29日

9月に咲く花 『熊の火』(安房直子作)

 山の中に住んでいるので、熊が出ることがあるそうです。実際にわたしは出会ったことはありませんが、子どもが通る道でも以前小熊が目撃されたとか。だから小学生たちはかばんに熊よけの鈴をつけている子が多いようです。確かに、この山の竹やぶの向こうからかさかさと音をたてて出てきそうな気がします。そんな想像はちょっとだけ楽しくもあり、しかし、実際本当に遭遇したらかなり恐ろしいような気がします。本当にこの近くの山にはツキノワグマがいるんだ。今までこれほどの田舎に住んだことはなかったので、熊というのはとても遠い物語の中だけの存在していました。子どものころから好きだったのだけど、今見えている風景はこの童話をよりいっそう身近に感じさせます。今の季節、冬ごもり前の熊たちはどこにいるのだろう? 9月のこの時期に咲くあの花を見ながら、思い出す童話、『熊の火』。
4035409405まよいこんだ異界の話 (安房直子コレクション)
安房 直子
偕成社 2004-03

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『安房直子コレクション 6』 安房 直子作 偕成社
『童話集「銀のくじゃく」』安房直子作 筑摩書房
に収録されている作品。『銀のくじゃく』はもっとも好きな童話集です。

(この先内容に触れます)

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2005年08月16日

『べにばらホテルのお客』(安房直子作)

4035409502恋人たちの冒険 (安房直子コレクション)
安房 直子
偕成社 2004-03

by G-Tools



 こちらに収録されています。

 「べにばらホテル」――名前を聞いたときからずっと気になっていました。なかなか行く機会に恵まれず、いつか必ず行ってみようと思っていた場所にようやく行ってきたような、そんな読後感を得ました。安房直子さんの描く世界のイメージから、素敵な森の中、おいしい料理のでる、趣味のいい眺めの素敵な客室。動物たちの行きかう世界……そんなことを思い巡らせながら、やっと読むことができました。想像していた以上に素敵なお話でした。
 このお話の主人公「わたし」はなりたての作家。新人賞を受賞後の第一作を書こうと思えば思うほどペンは進んで行きません。環境を変えてみようと森の家に一人で来ているのですが……。
(内容に触れますが、結末には触れないでおきます)続きを読む
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2005年07月03日

雨の日のかさの色は

 雨です。雨です。 雨の日といえば『青い花』。
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2005年05月23日

『丘の上の小さな家』(安房直子作)

4035409405まよいこんだ異界の話 (安房直子コレクション)
安房 直子
偕成社 2004-03

by G-Tools


 安房直子さんの作品は不思議な世界がでてきます。いわゆる魔法が使えるある種の構築された別世界ではなく、日常のすきまからすとんと落ちていくような、気がつく人だけに見える世界というか、そんな「異界」を描いています。幻想世界、空想世界ということばではなく、「異界」がぴったりくる、そういう世界なのです。その異界は現実とどこかで繋がっています。異界には抗いがたいような魅力を持ち、異界へ冒険に出るのではなく、異界に引き込まれていくのです。決して特別な人間ではなく、むしろ自分にも通じるようなごく普通の人が主人公。着いた場所はそこは甘い夢の世界ではなく――。
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posted by kmy at 19:36| Comment(4) | TrackBack(1) | 安房直子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする