2013年04月18日

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』



 結局発売日に本屋さんに行ったので買ってしまった。村上さんの本は自分と取り巻く状況は全然違うのだけど、何かしら自分の感情を整理できるような、そういう気分になります。この本も、そうだったんだよな、と思うようなある出来事を想いつつ、ちょっとその整理がさらにできたような気がしました。

 今年のラジオ講座で『英語で読む村上春樹』がやっているので、ちょっと気になります。うちはかなりの田舎で電波が悪いのため、ラジオを聞くなんて考えてもいませんでしたが、NHKで前週の放送がネットで聞けるので、聞いてみようかと思います。便利な世の中だな〜と思う最近。スマホで聞けると、いつでもどこでも聞けて本当に便利。
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2012年07月20日

『約束された場所で―underground 2 』



 オウム事件の指名手配者が全員逮捕されたこともあって、この本を読んでいなかったことを思い出した。当時、オウム信者であったり、元信者であった方々のインタビュー集。

 オウム真理教という宗教体系の中に身を投じることによって、各々がどういった生活をし、どんな考え方をし、そして一連の事件についてどう思うかということを中心に語られている。恐ろしい無差別殺人の片棒を担いでいたというイメージとは異なる印象を受けた。よく、マインドコントロールと言われるが、自らのその世界に入って行き、強制的に思想を植えつけるというよりも、思想を「求めて」いたという印象を抱いた。これは、もしかしたら、わたしでも惹かれて入ってしまったかもしれない……と思うところもあり、信者とは何なのか、どうして自ら信者になったのか、疑問を抱かなかったのかと、いろいろ考えてしまった。

 著者や河合隼雄氏との対談を読むと、その信者のイメージがよくわかった。真摯に物事を考え、現世的利益を追求することが果たしてよいことなのかと疑問を抱く人。何か現実とはなじめないでいる人。そういう人々が「人間とは何か」「本当の幸せとは何か」など、さまざまな現実的疑問を解決してくれる存在として、この現実の生活にうまくなじめない人々の受け皿として、オウム真理教が存在していた。ただ、そのシステムのあり方は、結局のところ無差別殺人に行き着く教義を孕んでいるものだったという。この、現実に疑問を抱きながら、うまく折り合えない人々が、オウムに全て身をゆだねてしまうことにより、自発的な思考を失ってしまう。その中にいれば全て正しい、苦行であろうと、過酷な労働であろうと、そして殺人であっても、それを受け入れてこそ真の解脱があるという考えであれば、内部で行われていることは全て正しい。その思考に支配されてしまう。(しかし、相当の苦悩を感じ、疑問を抱いた人ももちろんいたけども)

 他者に自分を委ねてしまうということは、偽の幸福感を抱くように感じた。自分が何をすべきか、自身の生き方は正しいか、日々悩み、不安になりながらも生きている。他者にこの悩みや不安も委ねてしまい、あなたのやっていることは全て正しい、これをやればよい、これをやれば真の幸福(世俗的なものを超えたもの)が待っていると思えてしまうからこそ、宗教に身をゆだねてしまうのだと感じた。

 この出家した人々の話を読んでいると、それほど遠い世界だとは思えなかった。ひょっとして、そういう機会があったら、もしかしたら入り込んでしまったかもしれない、と思えるところがある。わたし自身、仏教思想の考え方については昔から興味があり、説話も好きだったので、そういう「教義」を肯定的に受け止めてしまうかもしれない、と思えるところがある。「人間は自分が信じたいことを喜んで信じる」(カエサル)ということばを思い出した。

 最後の収録されている河合氏との対談も、非常に面白く読んだ。「悪」について非常にわかりやすく解説されている。善と悪というものの区分はとても難しいもの。悪はシステムとして存在する。ある人々にとって「善きこと」を突き詰めた結果が、時として悪になる。これは非常に難しいと感じる問題。そして、物語の持つ力についても触れ、ネガティブなところから出てくるのが物語、というのも分かる。抱えている問題、疑問、不安、恐怖……そこから物語は始まるように思えるし、それがあるからこそ、物語に深みがあり、物語が力を持つ、とも感じる。そのオウムの描いた物語の「悪」はオウムの外に向けられ、それがサリン事件につながっていくという解釈にも頷けた。

 オウムの事件そのものより、なぜか自分自身の向き合い方のようなものに考えが巡っていく本だった。
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2010年05月13日

『1Q84 BOOK 3』

1Q84 BOOK 3
村上春樹
新潮社 ( 2010-04-16 )
ISBN: 9784103534259
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


 発売日に届くように予約して購入しましたが、せっかくなのでBOOK1、2を読み直して通読したいと思い、のんびり読んでいたらもう5月も半ばです。1、2も面白かったといえば面白いのですが、『ねじまき鳥』や『ダンス〜』のほうがわたしの好みだな、と思っていましたが、BOOK3でやられました。こういう展開になるとはという感じです。

(この先ネタばれもあり)

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2009年06月16日

『1Q84』読み終わり。



 凄く売れているという話題の『1Q84』上下巻。流行っていても流行っていなくても、やっぱり村上さんの長編ということで買ってしまいました。毎日少しずつ読んでいましたが、終わってしまいました。


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2007年07月06日

『バースデイ・ストーリーズ』

4120033414バースデイ・ストーリーズ
レイモンド・カーヴァー
中央公論新社 2002-12-07

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 村上さんの短編が入っているので読んでみた。正直なところ、ここに収められている短編を書いた作家の作品を読んだのはこれがはじめてです。誕生日から連想される楽しさや明るさというものはほとんどなく、だから印象に残るのかな。ありきたりのケーキとお祝いとは違う誕生日の物語。

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2007年06月29日

『ダンス・ダンス・ダンス』

ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 (講談社文庫)
  ダンス・ダンス・ダンス〈下〉 (講談社文庫)

 本を読みながら、「こういうことが言いたいんじゃないか?」「こういう意図なのではないか?」「こういう意味を込めているのではないか?」本を読みながら解釈をする、考察する、考える。村上春樹の本は「こういう意味」かどうかはあまり関係ない気がする。吸収されてるようにも思えるし、自分から何かがにじみでていくような感じもする。考えるより感じる。『ダンス・ダンス・ダンス』は面白い。設定もいい。よくわかる。そうそう、って思う。でしんみりする。村上春樹の中で一番好きな作品。あらすじは書きません。読む人は読むだろうし、読まない人は読まないから。こういう話なのって説明すると面白くなくなる小説です。(ちなみ最初に裏表紙を見たとき、「ダンス」の話だと思いました。「ステップを踏む」とか書いてあったので。全然違いました(笑)。主人公はダンサーではありません)

 「喪失感」(下巻P318)と「僕」は言葉に出してみる。絶え間なく変化する毎日の中で、何かが蓄積されていくと思っていた。ふと気がつくと、どんどん消えていくものがある。
そして人は年をとっていく。時は取り分をとっていく。
(上巻P360)

 単に「僕」が登場人物の年齢を感じた場面での文章だけど、引き締まった一文で印象的。奇妙な人々と、都会の風景。そうした設定だからこそ描けるのかもしれない。どんどん失われていくもの。それを感じること。

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2007年04月01日

読んだことがない!ということ

 一日一冊というのにはほど遠い読書生活を最近しております。ペレーヴィンの『眠れ』がなかなか進まず、読み直し読み直し戻っていたら、長いことこればかり読んでいました。とはいえ、「理解した」とは言い切れない未消化の作品もありますが。
 ペレーヴィンはロシアの村上春樹と言われることがあるそうですが、わたしはあまり村上春樹っぽい印象は受けませんでした。少し不思議な世界と現実が入り混じる感じはありますが、村上春樹の方が感覚でわかるのは日本人だからでしょうか。ロシアに疎いので『写真でたどるロシアの文化と歴史』という本を借りてきて読みながら眺めましたが。

4751523325写真でたどるロシアの文化と歴史 (「知」のビジュアル百科 32)
キャスリーン・バートン・ミューレル
あすなろ書房 2007-01

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 でも、なぜか村上春樹の小説が読みたくなりました。まず読んだのが『東京奇譚集』。『東京』は文庫が出るまで待とうかと思っていたのですが、装丁がきれいだったのでついついハードカバーを買ってしまいました(ハードカバーは持ち歩けないからあまり好きじゃないのだけど)。というわけで、初めてこの短編集を読みましたが、内容はまずまず、もう一度無性に読みたいとはあまり思いませんでした。主人公が村上春樹の小説によくある「ぼく」ではない感じ、ぼくが介在していない感じがあまり好きではないです。いくつかの好きな小説は主人公が生きている状況は自分とはまったく似ていないのに、どこかつながりを感じるような感覚を抱きます(『東京奇譚集』はどこかひとごとに感じた)。
 『東京』は今ひとつだったので、急にまた読みたくなった『TVピープル』は「眠り」が好きです。ペレーヴィンの『眠れ』というタイトルがなんとなく連想されたのかもしれません。「眠れ」は眠っている話、「眠り」は眠れない話なので180度方向は違うはずですが、眠ることについて、眠らないことについて、現実と眠りとの関係について興味があるので、こういうい「眠ること」のテーマが好きなのです。
 「眠り」はラストのどうなっちゃったかわからない現実的な怖さが身にしみます。こらが凄く怖い。ホラーではないし、感覚として怖い。まあ、それは置いておいて、本題は「眠り」で主人公「わたし」はトルストイの『アンナ・カレーニナ』を熱心に読むのですが、わたしは読んだことがないということです。

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2006年03月20日

「いるかホテル」を英語に直すと?

 翻訳についていろいろ考えています。英語は好きではなかったけども、続きが読みたいがために購入したハリー・ポッター。2巻以降は原書も読んでいます。とはいうものの、これってこういう訳になるんだ?と気になり、比較してみながら、悩んだりします。原文比較だけでなく、翻訳に関するいろいろな文章を読んでいましたが、ふと逆に「英語→日本語」の文章ではなく、「日本語→英語」の文章でも訳せないことばがあるのかもしれない、と思いました。例えば「いるかホテル」のこと。

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2005年11月12日

『海辺のカフカ』

 先日出席した結婚式の際、長い時間電車で過ごす時間ができるので海辺のカフカ』を読むことに決めていた。ようやく読み終わりました。
 村上さんの本を読んでいるといつも感じるのだけど、この部分がどうとか、あのキャラクターが考えていたことは何かとか、そういう「分析」のようには読めないのです。そこにある物語の中にそっと入っていって、何かを感じ、ことばを楽しみ、そして終わるという気がします。出てくる登場人物の誰がいいとか、どこがいいとかいう感想ではなく、全体に流れて「感じ取るもの」はとてもいいものでした。

  
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2005年09月14日

サンドウィッチ? サンドイッチ?

 『ダンス・ダンス・ダンス』を読んでいると本物のホースラデュッシュ・マスタードを使った「サンドイッチ」が食べたくなってくるのですが、ちょっとだけどうでもよい気になること。「サンドイッチ」なんですよね、『ダンス・ダンス・ダンス』の「僕」が作ったり話したりいるのは。それがどうした、といわれそうですが、乏しい読書歴のわたしが気になるのはこのサンド「イッチ」の文字。それまで「僕」はサンド「ウィッチ」を食べていたような気がするんだけど。うーん、検索してもなかなかそれらしいサイトに当たらない〜。続きを読む
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2005年09月11日

本物のサンドイッチ?

 ここ最近、すっかり村上春樹さんの小説・エッセイにはまってしまいました。この一冊だけ読んで面白かったという作家ではなく、長編、短編ともどこかしらに繋がるようなその独特の世界がとても気に入っています。おいしそうな料理が出てくる小説ということも有名だそうで(これもまた最近知った。今さらではあります)、物語に食べ物が出てくるとかなり気になり、実際にその料理を調べたり作ったり買ったりすることもよくあります。今一番気になるのはサンドイッチ。
4062041235ダンス・ダンス・ダンス〈下〉
村上 春樹
講談社 1988-10

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4062041235ダンス・ダンス・ダンス〈下〉
村上 春樹
講談社 1988-10

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2005年08月29日

『ノルウェイの森』(村上春樹作)

 何といっていいか……もうとても心に染み透ることばの数々。そういう本です。
4062035154ノルウェイの森〈上〉
村上 春樹
講談社 1987-09

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4062035162ノルウェイの森〈下〉
村上 春樹
講談社 1987-09

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2005年08月14日

『羊めぐる冒険』

4062749122羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社 2004-11

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4062749130羊をめぐる冒険〈下〉 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社 2004-11

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 このごろ村上春樹さんの本を続けて読んでいます。遅ればせながら、というところですが、非常に面白いのです。ことばのひとつひとつが磨いてある、という印象で、独特の言い回しや比喩などにはっとさせられたり、主人公「僕」と「僕」を巡る人々とのやり取り、会話、感じ方など、どこかしら自分自身と重ね合わせてみたり、思い起こさせることなどがいくつもあって……わたし自身、この本の主人公と年が近いのもあるのかもしれない。わたしにとっては今が読み時、という気がしました。共同経営者との仕事の関係、かつて非常にうまく行っていた二人、現在の「僕」が感じること。街に帰った「僕」が感じたこと。少しずつ変わっている中で変わっていく自分と周り、というのを読みながら自分自身でも見つけていたように思います。
 そうした感情や気持ちをなぞることと同時に、この本はストーリー自体も面白く、そして登場する料理や本などは物語の中のことだから、余計に惹かれるものがありました。
(内容に触れますので、既読の方は「続き」をどうぞ)続きを読む
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2005年06月20日

つながる、つながる。

 最近、村上春樹さんの本を手に取ってしまう。今まで全くと言っていいほど興味がなかったのだけど、村上さんの本だとは思わずに借りた『羊男のクリスマス』がきっかけだった。続きを読む
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