2008年08月22日

『マノン・レスコー』

 最近、図書館に通わずにいます。買ったきり読んでいないけども、いつか読むつもりという、いわゆる積読本を読んでみる月間にすることにしました。そのなかでもかなり古い積読本が『マノン・レスコー』です。この本は大昔『椿姫』を読んだときに、作中に登場するので、こちらも読んでみようと思いつつ、かれこれ15年?は経っていそうです。もともと古書店で買った本なので、昭和60年発行。古いなあ。買った当時は平成一ケタだったから、今ほどページも茶色くなかったはずだし、新潮文庫の古いものでおなじみのクリーム色のカバーもあったはず。なのに、今取り出してみると、カバーはなくなっているし、表紙が破れている。茶色く焼けたページがさらに古さを感じる。読んでいないのにかなり状態が悪い。古本でこの状態なら買わないけども、15年以上も持っているのだからそれなりに愛着があるので、たぶん、このままずっと持っている、そういう本。

410200601Xマノン・レスコー (新潮文庫)
アベ・プレヴォー
新潮社 2000

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2008年03月21日

『蝿』

 これは面白かった! もうかなり昔の映画「ザ・フライ」の原作『蝿』です。そういうものの、おぼろげにしか「ザ・フライ」は覚えがありませんが、異色作家短編集の一冊ということで気になっていたのです。
4152086963蝿(はえ) (異色作家短篇集)
George Langelaan 稲葉 明雄
早川書房 2006-01

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2008年02月02日

『階段の悪夢―短篇集』

 ブッアーティの短編集。これまで読んだ短編よりももっとずっと短いものが多く収録されています。ひとつのタイトルの中にいくつかの小話がまとめられたものも多く、数行で終わる物語もあります。この短さの中では語られること、語られなかったことがうまく対比をなして、読者に「それは何だったのだろう」という想像をかきたてるのですが、だいたいにおいて「それ」は何かしら不安の寓意のように感じます。

488611301X階段の悪夢―短篇集
ディーノ・ブッツァーティ
図書新聞 1992-06

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2007年12月20日

『趣味の問題』

 白地にすっきりしたフォークとナイフのイラスト、完結なタイトルに惹かれて手に取りました。

 大学中退後、職を転々とし外国をめぐってみたりなど、あくせく会社勤めをするのが嫌いなニコラ。ギャルソンとして働いていたレストランで、世界的な大富豪フレデリック・ドゥラモンと出会う。フレデリックは背格好、年齢の似たニコラを、自分の<試食係>として雇いたいというのだ。魚とチーズが苦手なフレデリックは、自分の味覚とまったく同じになるように(何が食べられないかだけではなく、どんなものをフレデリックが美味しいと感じるかというところまで)、かなりきわどい手法で訓練までさせて自分の嗜好をニコラに覚えさせようとする。その試みは徐々に成功しニコラもその仕事に喜びを見出すようになっていくのだが、<試食>の範囲は食事だけに留まらず、映画・本を選ぶところか、相手の女性を選ぶという範囲にまでエスカレートしていく。
415208314X趣味の問題 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
Philippe Balland 高橋 利絵子
早川書房 2000-11

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 この先ネタばれ感想です。続きを読む
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2007年12月12日

『歯とスパイ』

 ブッツァーティの隣に置いてあったので、手にとってしまった。内容としては、S.Gという人間の女性関係や子どものころのとある記憶、懇意にして、敵となった音楽家との関係、加えて要人の死……などなどが個人的で断片的なエピソードとして語る小説。ただし、どの出来事も自身の歯と密接に関係していて、下の臼歯が痛んだとき、だれそれとの関係は終わった、などと、事件はすべて「歯」に結びついています。

4309202853歯とスパイ
Giorgio Pressburger 鈴木 昭裕
河出書房新社 1997-05

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2007年10月17日

『猫とともに去りぬ』

 イタリアものは今まで縁遠くほとんど読んだことがない気がします。ブッツァーティが非常に面白かったので同じく光文社古典新訳文庫シリーズのイタリアもの、ロダーリの『猫とともに去りぬ』を。こちらはブッツァーティとは対照的に明るい話ばかり。それでいて皮肉がこめられた内容にちくっとさせられる感じが面白いです。
4334751075猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)
関口 英子
光文社 2006-09-07

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2007年10月12日

『七人の使者』

 引き続きブッツァーティ短編集『七人の使者』。これはこれは、と引き込まれていく短編ばかりでした。人間はこの地上を制覇していると思っている。昔は限りなく遠かった場所もあっという間についてしまい、未踏の地などない、そんなことをふと思う現代に生きる人間。でも、でもなのです。その感覚はある種の驕りなのかも、その果てというのはどこにあるのか、本当にあるのか――進む時間と空間によって、その感覚のあやふやさ、まだ先にあるのかもしれない、ないのかもしれない、その不確定さへの不安を呼ぶ、奇妙な感覚の短編集です。
430920144X七人の使者
脇 功
河出書房新社 1990-06

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2007年10月08日

『待っていたのは』

 ブッツアーティの短編集。絶版につき買えるような値段ではでないな〜と思っていたのですが、図書館のイタリア文芸の棚に並んでいました。本はこちらを見ていたような、本と「目が合った」ような感じで気がつきました。内容は期待通り、淡々と語られる文章で不安感の増す話が多いです。
4309201881待っていたのは 短編集
Dino Buzzati 脇 功
河出書房新社 1992-06

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2007年06月17日

『神を見た犬』

433475127X神を見た犬 (光文社古典新訳文庫 Aフ 2-1)
関口 英子
光文社 2007-04-12

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 イタリア幻想文学だそう。幻想といってもファンタジーではなく、日常を突き崩していく不可解さを感じる短編集。

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2007年03月18日

『壁抜け男』

4152087862壁抜け男 (異色作家短篇集 17)
中村 真一郎
早川書房 2007-01

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 疑問を与えずに、そういうことは当たり前になった場合という設定を、パリに溶け込ませた物語。短編とはいえ、少し長めで読み応えがあります。
 表題作『壁抜け男』は文字通り壁を抜ける能力を持っている男の華麗なる転身と結末。続く『カード』は日記としての体裁をとって描かれる話なのですが、これは「小説」だから味わえる感覚なのかもしれない。無用とされる人間(老人、年金者、失業者など)は一ヶ月のうち決まった期間しか生存を許されなくなったという物語。しかもこれは政令で決まったということで、政府から自分が生存できるだけの時間カードを受け取り、その生存についてあれこれと議論があり、カードの売買がありますが、雰囲気が全然SF調ではないというのが面白い。SF仕立ての原理ではなく、古い時代のパリそのまま、時間カードがあたかも肉やパンの配給カードのように取り扱われます。相対的に生存できない時間は死んでいることになっているのですが、この時間カードを買い増せば時間が増えていくのです。その増えた時間の奇妙な歪みがまた面白い。時間が増える原理とか、非生存状態の人間がどうなっているとかはまったく語られないのにリアリティがあります。

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