2016年11月07日

"Harry Potter and the cursed child"読了!

誕生日プレゼントで頂いたハリー・ポッターの最新本"Harry Potter and the cursed child"を読み終えました。シナリオということで難しい長文や凝った表現があまりない感じで、楽しく読むことができました。プレゼントありがとうございました!

内容についての感想はネタバレになるので、もう少しよく思い起こして書き留めておこうと思いますが、ラストしんみりしました。今まで読んできたハリーのシリーズは自分自身がホグワーツの学生という気分に浸っていましたが、この本では親目線を持ちながら読み進めました。展開にどきどきしつつ、懐かしい人物との再会も嬉しく思いました。大人になったハリーたちに共感しながら、どう収束していくのか目が離せませんでした。

もう映画化決定されているのでしょうか?あまり詳しく調べていませんが、大人ハリー、気になりますね。

2009年02月27日

『不思議の国のアリス』2冊

 昨年からアリスの本を何冊か読んでいましたが、いつの間にかリスベート・ツヴェルガー挿絵のアリスが出版されていました。
 ツヴェルガーの絵はどちらかというと冷たい印象を受けます。すっきりした色あい、表情の無機質さ。独特の雰囲気があります。現実ではない、どこか遠くて近い世界というのが感じられます。
 と、挿絵が素敵で有名でしたが、長らく翻訳版はなかったのですね。2008年11月出版のこの本の翻訳は石井睦美氏。

不思議の国のアリス
ルイス キャロル
BL出版 ( 2008-11 )
ISBN: 9784776403210


 ツヴェルガーの絵よりも、翻訳が気になってしまいました。アリスのお話を追うという点で、石井氏の訳はまあ、普通という感じ。毒もないけど特別ここがいいなあ、というのも残念ながら感じませんでした。

Alice im Wunderland
Lewis Carroll
Esslinger Verlag ( 1999-06 )
ISBN: 9783480074709


 さて、いくつか読んだ中でわたしがもっとも気に入ったアリスはこのバージョン、画像はドイツ語版のものですが、日本語版は西村書店から出ているものです。ドイツ語版からの翻訳ということで、翻訳者はラルフ・イーザウの本でおなじみ、酒寄進一氏。挿絵はユーリア・グコーヴァ。ロシア人です。この絵がとにかく気に入ってしまいました。テニエルとも違う大人っぽいアリスで、鉛筆なのか、薄い線画の部分が独特の陰影がある感じ。色あいがどぎつくもなく、優しい感じでもなく、線画の部分とうまく組み合わさって、不思議な世界を出しています。また、赤が印象的に使われていて目に留まります。

 さて、挿絵と共に気になるのが翻訳です。石井訳、酒寄訳、ネットで見れる山形訳を比べてみました。


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2008年12月16日

『フランク・オコナー短編集』



 人間と人間が関わるときに生まれるちょっとした感情の動きを描いている短編集という感じでした。ときに疎ましく、ときに切なく、ときにやるせなく、ときには温かい。お互いに思うところがあり、それを伝え合うこともできるけども、だからと言って、受け入れることができないときもある。世間の常識から外れてかもしれない。でも、そういう気持ちになることがあるという、さまざまな気持ちというものを思い起こす本でした。

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2008年05月13日

『Y氏の終わり』

 偶然が重なって、初めて入った古本屋で見つけたのは世界で1冊しかないといわれている『Y氏の終わり』と言う本。この本の著者はトマス・E・ルーマスといい、研究している人間は本を入手した主人公アリエルの指導教授のみというマニアックな作家。しかもその教授は失踪中。読んだものは死ぬという呪われた本として知られているのですが、これには驚くべきことが書かれていました。デリダ、ハイデッガー、アインシュタイン、ボードリヤールなどの思想を交えながら、錯綜する現実と意識の世界を読み解く旅、でも恋愛小説として読むのもいいかもしれません。
 映画「マトリックス」的世界に近い感じがあります。パラドックス、シュレディンガーの猫、不確定性原理、タイムマシンなどに興味がある人にはかなり惹かれる内容ではないかと思います。
4152088796Y氏の終わり (Hayakawa Novels)
スカーレット・トマス 牧野千穂 田中一江
早川書房 2007-12-14

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2008年02月10日

『新アラビア夜話』

 ボヘミアの王子フロリゼルがロンドン、パリの街を舞台に活躍する物語。アラビアンナイトに擬せられていることから来たタイトルであり、物語の結末に「とアラビア人の著者は言う」と出てくるだけでした。
4334751393新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-1)
南條 竹則 坂本 あおい
光文社 2007-09-06

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2007年11月29日

『食糧棚』

 食べるというのは人間が生きていくのには必要な行為である。食べるという行為により人間が得るものは単なる肉体組成に必要な成分と栄養だけではなく、その行為がもたらす精神的な作用も含まれているものなのだ、と自分が口に入れるものの先に「感じる」ものが描かれている超短編の数々。全部で64編。一文からなるもの、長くて数ページという作品を読み続けていくと、時々消化不良に陥りますので、お気をつけて!
4560047464食糧棚
Jim Crace 渡辺 佐智江
白水社 2002-05

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2007年11月27日

『王女マメーリア』


『王女マメーリア』 ロアルド・ダール作 田口俊樹訳 早川書房

 無性にダールの短編が読みたくなったのです。まだまだ読んでないのがあった、と思い出して図書館に。こんな面白い本が書庫に入っているとは、道理で目に付かないわけだと思いました。
 日本で独自に組んだ短編集だそうです。シニカルな笑いの短編がある一方、ラストがなかなかいい感じの作品もあり。児童書のいくつかにこの短編のエッセンスが振りかけられているように感じられました。

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2007年02月15日

『ドリアン・グレイの肖像』

4334751180ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)
仁木 めぐみ
光文社 2006-12-07

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 ドリアン・グレイは老い、醜さ、罪、など、年を重ねるにつれて顔に、体にでるものを全て肖像画に引き受けさせ、自身は少しも損なわれないようには見えていただけで、結局自身とはまったく別個のものとして据え置くことはできなかったと感じます。自分自身の人生に刻んできたことを、自分とは無関係に置いておくわけにはいかない、必ず無理が生じるのではないか――と。ドリアンは肖像画に自己の一部を与え、分裂した状態だったのではないか、と感じます。結局、肖像画は自分自身でありながら、客観的には別のものということになってしまったのですから。

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2006年12月07日

『炎のなかの絵』

4152087099炎のなかの絵 (異色作家短篇集)
John Collier 村上 啓夫
早川書房 2006-03

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 これ、主に夫婦を描いています。結末がブラック。好みが分かれると思いますが、わたしは好きです、こういうもの。

 冒頭の「夢判断」は毎晩男が自分の勤める39階建てのビルから落ちていくという夢を見る男の話。精神科医の元で夢の話をするのですが、昨日とうとう2階に達し、そのときにこの精神科医のオフィス(男の勤めるビルの2階にある)を落下しながら覗いたという。そのとき、先生は自分のフィアンセと抱き合っていた。それを確かめたくなってこの精神科医の元に訪れたとも言うのです。
「しかし、先生」と青年は絶望的に叫んだ。「ぼくはもうすぐ地面にぶつかるところになっているんですよ」
(本文P15)

 この物語の結末は結末ではあるもの、読者にとってはその先のほうが気になるのです。ええっ? で、どうなったの?と。

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2006年11月27日

『あなたに似た人』


ロアルド・ダール,田村 隆一,Roald Dahl
Amazonランキング:14484位
Amazonおすすめ度:



 これ、凄いですよ。『チョコレート工場の秘密』を念頭において読んではいけませんね! かなり辛辣、グロテスク。ブラックな味が苦手な方には絶対にお勧めできません。
 どの作品も淡々とした語り口で始まることが多く、静けさや回想、めぐる考えなどが続く中、結末で一気に急降下する展開が持ち味の短編集。最初と最後で反転するような気分を味わえます。この短編はどれも読み終えた後、いったいこの先はどうなってしまったのだろうという後味がいつまでも残ります。

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2006年10月19日

『料理人』ハリー・クレッシング

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『料理人』ハリー・クレッシング作 一ノ瀬直二訳 早川書房文庫

表紙画像はハヤカワ・オンラインより許可を得て掲載させていただきました。
『料理人』 ハリー・クレッシング(amazon.co.jpで詳しく見る)

 どこかのブログで紹介されていた本をクリックしたらアマゾンに飛びました。その本と一緒に「この商品を買った人はこんな商品も買っています」として出てきた本がこの『料理人』。不気味な表紙に惹かれて読み始めると――続きはおおよそわかっているのに、この表紙に描かれた主人公コンラッドとはいったい何を考え、何を行っていたのか、読み終えると同時にまた表紙を開いてしまう本でした。ちなみにこの本が「この商品を買った人はこんな商品も買っています」として表示した元の本はなんだったのか全然思い出せません。すばらしい料理のように、もう一度味わいたくなる味わいの本です。

 とある田舎町コブ。町の創設者コブ一族の末裔ヒル家とヴァイル家が支配する町。そのヒル家にやってきたコック、コンラッド。コンラッドの作る料理はどれもすばらしく、その味わいにヒル家は虜になっていく。太っていたものは痩せ始め、痩せていたものは太っていくその料理。コンラッドが訪れる場所は賑わい、そして町の人々をもコンラッドは引きつけていく。最後まで一気に読ませます。
(この後筋に触れます)

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