2007年02月17日

『ぼくが恐竜だったころ』

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三田村 信行, 佐々木 マキ / ほるぷ出版
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 奇妙な短編を多く書いている三田村氏ですが、こちらは長編。400ページ以上あるので読み応えたっぷり。SF、ミステリー、そしてちょっぴりラブストーリーでもあり。タイトルの通り「ぼくが恐竜になる」ということを通して、人間という生き物をシニカルに描き出す物語。

 ぼくこと水上誠也は「よみがえる恐竜展」で古生物学者大矢野博士と知り合います。そこで、「本物の恐竜が見たくないか」と言われ、博士の研究所に。そこにあったものは――。
(この先ネタばれ感想なので、未読の場合はご注意を)

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2007年01月27日

『オオカミのゆめ ぼくのゆめ』

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三田村 信行, 佐々木 マキ / ほるぷ出版
Amazonランキング:1149716位
Amazonおすすめ度:


 これ、どれもヘンな話と言っていいかもしれません。読み終わったあと、かなりもやっとした気分が残って離れません。で、その後どうなる?で終わってしまうような感じのものと、結局その出来事は何だったの?と自分で考えなくてはいけないこと請け合いです。
 このわけわからない感じというか、いろいろな解釈ができるというか、それが持ち味なのだと感じますし、わたし自身、こうした傾向のある三田村信行の短編集が気に入っています。これらの作品はどれも物語の筋ではファンタジックな味を出していて、ああ、これでうまくいきそうというほっとしたような気持ちを持ち、そしてそのまま結末に向かうかと思いたいところなのですが、思っている通りにはなりません。描かれているのは幸せなひとときと、それが裏切られたときの落差。読み終えるとうまくいかない現実に愕然とするかもしれません。不安、期待、そして結末。よく物語で「こんなにうまくいきっこない」と思うお話がありますが、この短編集は逆です。
 特に「生きる時間」は印象に残ります。

(この後、あらすじとネタばれ感想があります)

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2006年12月11日

『ドアの向こうの秘密』


三田村 信行, 古味 正康 / 偕成社
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 日常がすっと消えてしまう怖さ、帰るべき家、家族が突然不気味なものへと変化し、そして主人公たちはこのあとどうなる?で終わってしまう物語。『おとうさんがいっぱい』と似たテイストを味わえる三田村信行短編集。

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2006年11月06日

『かべは知っていた』


三田村 信行, 佐々木 マキ / 理論社
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大人になってから読んでよかった。



 『おとうさんがいっぱい』に収められている『かべは知っていた』という物語は二つの側面があって、そのどちらにも感じるものが多いのです。
 いつものようにおとうさんとおかあさんの言い争い。おとうさんは週刊誌で「かべの中に入った人の話」を読んだと言い出します。
小説なんかじゃない、実話だぞ。なんでもその人は、世の中がいやになって、それでかべの中にはいっちまったんだそうだ。そのかべは見たところはうすっぺらなしっくいかべだが、かべの中にはふしぎな空間があって、その人は、そこに落ちこんだというんだな。その空間にいると、ふしぎに腹もすかなければ、からだの調子もおかしくない。
p145

 おとうさんがかべの中におれも入ってやると言い出したのにはこんな理由がありました。
あくせくはたらいても、ちっともおまえたちに感謝してもらえない。感謝どころか、いないほうがせいせいするなんていわれる。これじゃあいくらなんでもやりきれない。そこで、かべの中にはいっちまうことにしたんだ。かべの中ならガミガミいわれることもないからな。かべの中でのんびりくらしたくなったってわけさ。
P146


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2006年11月03日

『おとうさんがいっぱい』

4652005148おとうさんがいっぱい (新・名作の愛蔵版)
三田村 信行
理論社 2003-02

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 怖い。表紙のイラストとタイトルとは裏腹に、終わりのない怖さを感じる作品集です。
 表題作をはじめ、『ゆめであいましょう』『どこにもゆけない道』『ぼくは五階で』『かべは知っていた』の五作。この中でも怖いのが『ぼくは五階で』。

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posted by kmy at 19:36| Comment(4) | TrackBack(0) | 三田村信行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする