2005年11月29日

『アルド・わたしだけのひみつのともだち』

アルド・わたしだけのひみつのともだち

『アルド・わたしだけのひみつのともだち』
ジョン・バーニンガム作 谷川俊太郎訳
ほるぷ出版 (1991.12) 


 この絵本に出会ったときには昔懐かしい友だちに出会ったような気がした。そうだ、わたしにも「アルド」がいたのだった。名前は「アルド」じゃなかったけども。

 アルドは「わたし」だけのひみつのともだち。孤独な少女を癒してくれる想像の友だちと言ってしまうと、あまりに簡単にまとまりすぎてしまう気がします。子どものころに抱く秘密を共有できる唯一の存在がアルド。アルドはうさぎの姿をとっていますが、きっとそれはひとりひとり違うのでしょう。アルドが人間として描かれていないというのもよくわかる気がします。実在のある人ではなく、ある存在として存在しているからなのでしょう。どうしても誰にもいえなかった秘密――それは悲しい出来事であったり、辛い気持ちであったり、往々にして負の感情です――を受けてとめてくれる自分だけの存在「アルド」はわたしにもあった、と思い出しました。

 どちらかというと絵のタッチも寂しく暗い雰囲気があります。特に表紙から数えて7枚目の絵はラフなペン描きのようなタッチの粗雑な印象の絵で、この絵がたまらなく寂しい。そして悲しい。ここに添えられたことばは「でも また ひとりになる」。この気持ちを本当に「感じ」ます。飾っておきたい素敵な絵ではないですが、強い印象がある絵です。感情に刺さるような絵です。だからかもしれませんが、わたしにはアルドがいる嬉しさよりも、反対にアルドにしか言えない、アルドにしか頼れない寂しさのほうを強く感じます。

 ジョン・バーニンガムの絵本は大好きなのです。子どものころの空想と大人の現実世界の対比のような物語が描かれる作品を見ていると、大人になってしまった寂しさを感じながらも、ちょっとだけ子どものころを取り戻したような気がします。目に見える世界だけが全てじゃなかったという、子どものころの気持ちを。自分だけが見えていたもの、感じていたものは確かにあったという気持ちを。

(画像は楽天アフィリエイトを利用して表示してます)
 
posted by kmy at 10:04| Comment(4) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさんが取り上げる本は気になるのばかりですね・・本当に!
そして、「秘密の友達」。私にも居た、と言えるkmyさんは何だか素敵です(笑)。

「秘密の友達」、素敵な響きですが、それが時に
寂しく悲しいことでもあるのか・・と気になってしまいました。
そして、子どもの時にだけ見えていたもの・・・。

関係ないですが、『ポビーとディンガン』という
一冊の本があります。
私が読んだのはもう結構前、「21世紀の星の王子さまだ」なんてキャッチコピーが付けられていた本です。(そして最近映画化もして、すごくびっくりしたんですけど)
私はこの本を読んで、すごく切なく、そしてあたたかい涙を流しました。
機会がありましたら、是非読んで見てください。

ポビーとディンガンに会ってみて下さい。
Posted by みずき at 2005年11月29日 14:58
みずきさん、こんばんは♪ コメントありがとうございます。バーニンガムは数多くの絵本を手がけているので、好きと一口にいっても読んでいないもののほうが多いのかもしれませんが、この『アルド』は特別思い入れがあります。
もう秘密の友だちとは話をしないけども、いつでもそのときを思い出すことができます。それは『アルド』のおかげかもしれません。

『ポビーとディンガン』も手にとってみますね。楽しい物語よりもしんみりする物語って、惹きつけられます。
今、うまくことばになりませんが、辛いこと、悲しいことを感じるというのは楽しいことよりも大事な何かを刻んでいくように思います。それがなかったら、と思うけどもあったから今こうしていられる感謝を感じたりします。『アルド』のような友だちがいたから、今があるのかもしれないな。
Posted by kmy at 2005年11月29日 20:55
kmyさんはじめまして
随分昔の記事へのコメントで申し訳ございません…

「アルド・わたしだけのひみつのともだち」

について調べていたらこのページと出会いました。

実は私の娘が2〜3歳の時、娘にはアルドがいました (実際にはアルドではなくあーちゃんって子だったんだけど…)

その話を友達にしたら「○○ちゃんにぴったりの絵本見つけたよっ」て友達が偶然この絵本を図書館から借りきて読ませてもらいこの本にとっても興味をひかれたのです

いつか購入しよう!そう思っていたのにメモをなくしてしまって…近所の本屋にも売ってなくて、ネット検索で調べた所
kmyさんのページへ

周囲でこの絵本をしってる友達がいなかったのでつい嬉しくなってしまいこの記事を書かれてるkmyさんについコメントをしてしまいました。

私は本を読むことが大好きで(今は中々時間がとれずほとんど読んでいませんが(^^ゞ)一日最低1冊は子供と一緒に絵本を読む事を心がけています。

kmyさんのおすすめ絵本を参考にまだ読んだことのない絵本を是非読ませていただきたいと思います。

実は最近ブログ&HPを始めたばかりで今はまだ日常のちょっとしたことなどしか書き込んでいませんが、いつかこのアルドの事などを書いて行きたいな。。。
と思っていた時にこのページに出会えたのでなんだかちょっと感動でした。

PCのことはど素人ですので、こんな所に書き込みをしても良いものかもよくわからない状態ですが、kmyさんがこのコメントに気付いて頂けたら嬉しく思います。長々とごめんなさい。。。

「アルド わたしだけのひみつのともだち」 私の大好きな絵本の一つです

Posted by ハイジ at 2006年05月25日 23:20
ハイジさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
『アルド』に出会ったときはすっかり大人でしたが、大切な一冊としてときどき読み返しています。
バーニンガムの絵本は大人からみた子どもというよりも子どもの視点そのものが描かれているようで、自分の中の子どもだったときというのを思い出し、世界がまだ不思議と冒険に満ちていたときを思い出します。
お子さんにも「アルド」がいたのですね。きっといつまで忘れないことと思います。

趣味が偏っているかもしれませんので、絵本や本が参考になるかわからないのですが、お気に入りの本が見つかれば幸いです。
ハイジさんのブログでも記事を書かれたらぜひ読みたいと思っています。
Posted by kmy at 2006年05月26日 15:31
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。