2008年05月11日

デロールと剥製

 以前、ヘレナさんの記事で「たくさんのふしぎ」が紹介されていました。何の特集か全然知らなかったのですが、シマウマの表紙に惹かれて、詳しい号数(2003年12月号「好奇心の部屋 デロール」)を教えていただき、図書館で借りてきました。

 この表紙のシマウマは剥製で、フランスはパリにあるデロール(DEYROLLE)というお店の特集だそうです。こちらのお店はもともと理科の教材などを販売していたとのことで、博物館のようなその店内にはシロクマやライオン、オオカミなどをはじめ様々な剥製が並べられています。現在は条約により、希少動物の剥製は作られていないとのことで、現在ある剥製は貸し出しのみ行っているようです。その他、モルフォチョウや色鮮やかな南国の昆虫標本、世界中から集められた鉱物や化石、植物標本に骨標本などが展示、販売、貸し出しされているようです。ちなみにHP(DEYROLLE)もありました。フランス語はまったくわかりませんが、ANIMAUXをクリックすると剥製の写真がたくさん出てきます。本を見た感じでは、ひっそりとした奇妙な店のようですが、実際はWEBで通販をするくらいの展開をしている現代的なお店に変化しているようです。

 それにしても、この剥製や標本の数々を見ていると、不思議な感じがします。このお店にあるものはたぶん、全部「死んでいるもの」たち。剥製は触っても危険はないし、動かないし、静かです。それがとても惹きつけられます。本物の動物を見に行くよりも、この剥製の動物園を見に行ってみたいと思ってしまいます。
 その静かに「死んでいる」状態が奇妙に感じるのです。生きているときの姿を持ちながら死んでいるもので、生き物ではないけど、かつて生き物だったものという、その属性の奇妙さに惹かれます。怖くもないけど、かわいそうでもなく。

 アリスで有名になったドードー鳥。かつてドードーの剥製が存在したそうですが、あまりに汚いからという理由で捨てられてしまったという話を読んだとき、本当に残念な気がしました。生きていたころを知らなくても、やはり「本物」を見てみたい、写真でも、と思ったものです。子どものころ、動物図鑑、鳥図鑑で「絶滅した生き物」のページが特に好きでした(絵でしたけど)。かつてそういうものがいて、今はいない、今後ももう絶対に存在しない、でもかつていた、というその状態がとても気になっていました。こうした生き物が剥製として残っていれば、かつていたはずのものが実物に近い状態で見ることができるというのは、その生き物が本当にいたという目に見える証明になるものです。何かが本当にあったということ、でもいまは失われてしまった。その生き物の片鱗を見せてくれるから、剥製というものが気になるのかもしれません。

 このデロールというお店、行くことはまずないと思っています。それだけに、写真を眺めながらこんなお店に行ってライオンやゾウの剥製に囲まれたら、そういう空想を楽しめます。行こうと思っていかれないから、こうして本で眺めるお店だからいいのかもと思っています。実際に出向いて触れて、見てくるというのはまたいいものだと思いますが、行ってしまったらその憧れも終わってしまうかもしれません。だから、絶対に行かないけども、いいなあと思い憧れ、空想し、考えるという、そういう場所としてデロールというお店のことを想うのでした。
posted by kmy at 15:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさま、デロールにホームページがあるとは知りませんでした。
すごいですね。画像で見た剥製は生きている時とはまた別の美しさや魅力があるようです。
作り物とも生きものとも違う、「死」が朽ちることなく留まっている奇妙な美というか。
小川洋子の小説「貴婦人Aの蘇生」に剥製をコレクションするのが好きな叔父さんが出てきますが、それを思い出しました。
また、「ドードー」の話は、最近読んだ児童書「ドードー鳥の小間使い」(柏葉幸子)を思い出しました。kmyさまの記事で、あの本は事実に基づいて書かれていたのだなあ、と感心した次第です。
Posted by Helenaヘレナ at 2008年05月13日 17:04
ヘレナさん
お店は古くからある場所で、その旧式な感じが素敵ですが、サイトもあって驚きます。
お店にパソコンはなんとなく似合わない気がしますので、そこはフランスのお店、たぶん奥にこっそり現代的なオフィスがあるのではと思っています。
デロールの特集の「たくさんのふしぎ」は表紙がいい感じだと思いましたが、実際に借りてきてみると、興味が沸く本でした。
ご紹介、ありがとうございました♪
剥製というのは、何か不思議な、奇妙な、それでいて惹かれるものがあります。
小川洋子&柏葉幸子の本は読んだことがありません。『ドードー鳥』という題名は聞いたことがあるのですが、未読です。
ドードーがすきなので、読んでみようかと思います。
剥製コレクションの話も紀になるので、今度チェックしたいと思います。
Posted by kmy at 2008年05月14日 14:28
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