2008年03月12日

隠れ家のような

 近所を歩いていたら顔見知りの方に出会いました。たぶん70、それ以上だと思われる年齢の女性です。屋根の雪が解けて凍って、それが降ってくるので危ないし、裏の畑でサルは出るしね、なんて話しかけてこられたので、サルは怖いですね、なんて相槌を打っていたのです。そしたら、

「あげるものがあるから」

 と言って、玄関を開けて入るようにというしぐさをするのでついて行ったのです。

 玄関先で待っていると、左手の畳敷きの広い和室の棚から、手作りのティッシュケースを取り出して、渡してくれました。以前に子どもがお手玉をもらったこともあります。趣味でときどき小物を作っているそうです。お礼を言って帰ろうとしたのですが、

「せっかくだから、お茶でも飲んでいったら? そうでもしないと、なかなか知り合いにもなれんし」

 と言われるので、じゃあ、と言ってお茶をいただくことにしたのです。てっきり、玄関左横の和室に上がるものだと思っていたら、

「この通りの家はだいたい下屋造りでね、こっち、こっち」

 と言って、玄関の奥の階段を指しました。地下室へ向かうかのような石段を5段ほど下ると、ガラス扉があり、扉を開けてさらに数段くだって左手に案内されました。3畳くらいなのかな、こじんまりした台所は流しの上に窓があり畑と少し離れた竹やぶが見えます。大きなお盆を鉄の足に載せたようなテーブルがあり、簡素な丸椅子を勧められました。台所の横にはちょとした部屋があります。台所の窓も少し小さめで、食器棚、冷蔵庫などに囲まれた小さな空間なのですが、ほっとするような居心地のいい感じです。地下室のような感じの穴ぐら風なのですが、窓があるので少し明るく、隠れ家のような雰囲気がいいなあと感じました。
 そこで、コーヒーとご馳走になり、手作りのお漬物と梅の焼酎漬けをいただきました。コーヒーはクリープをたっぷり入れたほうが美味しいといいながら、クリープたっぷりコーヒーをいただきました。いまどきの人は砂糖を入れないんだね、と言われました。そういえば、友人でも砂糖を入れる人ってほとんど見たことはない気がします。シュガーポットを出してきてくれましたが、なんだか昔の喫茶店のようで、そのシュガーポットが懐かしい感じです。娘さんがいるそうですが、東京にいて2ヶ月に一度は来るけども、来て帰るその後っていうのが余計寂しいものだとか、裏の畑にでるサルのこと、近くのおばあさんが亡くなって、この台所の窓から見える灯りがあるとないとじゃ違うというお話、近く行われる選挙のお話、などなど。
 お漬物も美味しく、そろそろ帰らなきゃというと、大根の漬物(砂糖、酢、しょうゆで漬けたそうで、色が茶色の漬物です)を持っていく?というのでいただいて帰ってきました。
 来たときと同じ石段を登ってから外に出てみると、見た目は普通の家なので、奥はこんな風になっていたなんて知らず、なんだかホビットの家を思い出すような造りでした。楽しい時間でした。
posted by kmy at 17:05| Comment(7) | TrackBack(0) | 出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

あぁ、こういうふうにその年代に関係なく友だちになれるっていいですね。
けっして押し付けがましくなく誘うって、けっこう難しいものかも。

それに、このお宅のつくりも土地に合った、生活に根ざしたものなのでしょうね。ちょっと、わたしもおジャマしてみたくなりました♪
ここでホビットの家を思い出したのが、なんかkmyさんらしいなとも思いました。ますます行ってみたいです(笑)。
Posted by ヤヤー at 2008年03月13日 01:01
階段を降りると空気の色や においまでかわるかんじが、とってもよく伝わってきます。
kmyさんの文 好きだなあ。

歳をとって一人暮らしになったとき、
いつでも人を迎えいれてあげられるような
お茶とお漬物でもてなせるような
きちんとした生活と柔らかい心を
私も持っていたいなと思いました。

シュガーポット なんてなつかしくていい響き!
Posted by めぐりん at 2008年03月13日 08:56
ヤヤーさん♪
田舎ならでは、なのかもしれませんね。
相手は名乗らなくても「あんたはどこの人だい?」と聞かれたりもします(笑)
近所付き合いというのも、たまにはいいものです。
段差のある場所に家が建っているので、通りの片側の家はそういう造りが多いそうですが、新しい家だと地下室っぽくしないで段差のほうを上げて、通りから入ってベランダ風のような造りのほうが今は普通かもしれません。
ホビットの穴の家のような、小さくて居心地がいい感じでした。壁側が本棚だったら最高かも(笑)



めぐりんさん♪
階段が石段というところがまたいいのでしょうね。雰囲気が伝わって嬉しいです。
わたしは地元の人間ではないですが、こうして受け入れてくれる気持ちを持っているというのは見習わなくてはと思いました。
シュガーポット、今なかなか使わないものです。
グラニュー糖は主にお菓子用になっていて、砂糖を入れてコーヒーを飲むっていうのが、何だか懐かしい気がしました。
Posted by kmy at 2008年03月13日 18:37
kmyさん、タイムスリップしたみたいな、おとぎばなしに出てくるような風景を感じます。
わたしもおじゃましたくなった気分です。
コーヒーとおつけもの、梅の焼酎漬け というのもいいですね。
こんな生活が実際にあるなんて・・・
窓から見える灯りがあるとないじゃ違うという話から選挙な話に飛ぶところがまたすごくおもしろいです。
Posted by noel at 2008年03月13日 21:34
noelさん♪
おとぎばなしのような、そんなお宅でした。
本当に田舎なので、年配の方はみな手作りでいろいろ作られています。野菜も作っていますし、そういうのを生きがいにしてもいらっしゃるのだと思いました。
窓から見える灯りですが、そのおばあさんが亡くなってしばらくは灯りのともらない家を見るたびに寂しい気持ちになったそうです。
最近になって、そのお家は壊してなくなったということで、灯りのつかない家のあった場所は何もなくなったそうなのですが、そのほうが返っていいように感じる、なんて言っていました。
選挙への関心は高いらしく、一定の年代以上の方にとっては「おでかけイベント」らしく、きれいな格好してちゃんとバック持って投票に来られるのです。
身近なところに目を向けていきているんだな〜と思うお話の数々、でした。
Posted by kmy at 2008年03月14日 15:15
ちょっとファンタジーですね。
その方にとっては生活に根付いたことを、ただ普通にやっているのでしょうが、今時の(?)人間からみるとなんか不思議な世界ですね。

クリープたっぷりのコーヒーにお漬物っていう取り合わせもおもしろいですし、きれいな格好して選挙に行くっていうのもほほえましいですね。

想像するにきっと立派なお宅で部屋もいくつかあったのでしょうに台所へ通すなんて、その方がきっと気さくな方なんでしょうね。そしてkmyさんになんか心をゆるしていられたんでしょうね。
Posted by ぴぐもん at 2008年03月19日 23:32
ぴぐもんさん♪
住んでいるのがかなりの田舎なので、ときどきびっくりすることがあります。かつてはあったと思われるようなことが残っていたりして。
考えてみるとクリープのコーヒーとお漬物という取り合わせは妙ですが、漬物がでるというのが当たり前のようで、あまり違和感を感じないところはわたしもここの人なのだと感じます。

お宅は立派な造りだと思いますが、その個人スペースともいうべき部分が現在のお住まいの大部分を占めていらっしゃるのだと感じます。
後はお客さんがきたときという感じで。
ご近所なので、たびたび会うことがあったのですが、親しみを抱いてくださると嬉しく思っています。
ちょっとしたファンタジーのような、そういう時間でした。
Posted by kmy at 2008年03月20日 16:44
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