![]() | 仏像が語る知られざるドラマ (講談社プラスアルファ新書) 田中 貴子 講談社 2000-08 by G-Tools |
仏像にまつわる説話を紹介しながら、実際にその仏像の写真(モノクロ)も掲載されていて親しみがわくというか、ただ見るだけでなく、これにまつわるこんな話、という視点で仏像を楽しめるようになります。紹介されている中でも人間の欲をついているものや、ちょっと変わったいわれがあるものが面白い。
表紙に掲載されているのが「吉祥天」という天部の仏像で、こちらと浄瑠璃時の伎芸天とどちらが美人かという話に始まります。そして、吉祥天にまつわる説話として紹介されているのが『古本説話集』の一篇で、なんと吉祥天像に想いを馳せる男性がいて、ある日夢に見たところによると、その吉祥天が男性と結婚してくれるという。そして、その約束の日、場所に出かけると、果たしてこのうえもなく美しい女がいてめでたく結婚するのですが……オチがついていて、なかなか面白い説話です。
また、十一面観音についても紹介。先日初めて裏側に顔があることを「とあるまちの小さな庭から」の記事で知ったのです。十一面観音の写真は本には載っていなかったのですが、記事で写真を拝見することができたので、よくわかりました。こちらの本によると、前三面は慈悲の相、左三面は憤怒の相、右三面は大きな牙を上に向かせた顔(時として観音は仏道修行者を誘惑する者へ怒りを向けるということを表現)、そして裏側には大口を開けて笑っている異相があるのです。この大口を開けてというのが驚きでした。この笑っている面は「爆悪大笑面」というそうで、すべての悪を笑い飛ばすという意味だそうです。
「聖天」についても初めて読んだので興味を引きました。こちらは愛欲を受け入れてくれる神様だそうで、ほとんどが秘仏となっているらしいです。「白宝口抄(びゃくほうくしょう)」と呼ばれる仏書にはこの聖天に祈るときのやり方が書いてあるそうで、それがかなり具体的で驚きます。恋愛を成就させたい二人の名前を書いたものを本尊の脇に置くとか、夫婦が別れたいときは鶏の尾を避けに浸して朱砂で名前を書いて足元に置くとか。その他、雨乞い、人を呪う、狂わせる、などの方法もあるらしいというので、実際にこの聖天をまつるのは大変だそうで、行われてはいないそうです。そういわれると気になるほとけです。荒子観音寺というところに円空作の聖天があるそうです。
その他、有名な三蔵法師にまつわるお話、聖徳太子と六角堂の話、仏教と神道が融合したことの解説など、さらっと読めて面白い本でした。



痛快な笑い顔ですね。
最近、精神的に辛いことがあって、十一面観音を見に行ったのですが、本当に力をもらえた気がしたんです。
きっと、この顔の迫力が、悪を笑い飛ばしてくれたんだなぁと思います。
本、読んでみますね。
いい本を紹介してくれて、ありがとう!
仏像にまつわる話は意外と面白く、仏像見に行きたくなりました。
十一面観音のくだりは、noelさんの記事を読んだすぐ後だったので、だからこういう顔なんだ、と納得。
この本では仏像を美術品として鑑賞するのではなく、信仰の対象として昔から見られていたことを念頭に書かれているのが興味深いところです。
noelさんがごらんになった仏像は、実物を本当に見てみたいものです。十一面観音の裏側を見れることなんて、そうそうなさそうですよね。
機会があったら、と言わず機会を作らなきゃと思っています。
素敵な仏像の紹介、ありがとうございました♪
何の知識もないのに、仏像に興味を持ってしまったわたしには、ぴったりの本でした。
わたしが観た十一面観音は、190センチあり、台座を入れると、かなり上の方に、あの顔が見えるわけです。
ただし、ライトはついていますが、薄暗いので、絵はがきみたいにはっきりと顔が見えるわけではないのですがね。
この観音さんは、井上靖氏か水上務氏の本で紹介されているらしいです。
でも、とにかく実物を見てほしいです、やはり。
本を読んでいただいたそうですが、楽しんで読まれたようで幸いです。
この田中さんの本は読みやすく、わたしは改めて今昔を読む気になりました。
実物を見に行くというのは、気合入れないといけませんが、一見の価値ありという気がします。
実際には上のほうということなので、もし行く機会が出来たら、双眼鏡を持っていこうかな、などと考えてしまいました。
この観音が紹介されている本も探してみます。
見に行きたいなあ〜。