![]() | クリスマスプレゼントン スズキ コージ ブッキング 2003-10 by G-Tools |
まだ時期的には早いですが、妙に変なツリーの絵が気になって読みました。『クリスマス・プレゼントン』。プレゼントンって、何だ?と思ってたのです。もしやこの変な顔のついたツリーのことでは……全然違いました(笑)それにしても、プレゼントがプレゼントンになるだけで力が抜けていくような感じ。このあたりがコージズキンさん風。
物語というか絵というか、やっぱり絵がいいんですよね。雪景色の異国風景がとても素敵。まずこのお話は大雪の日に雪だるまがラッパ男を作ることから始まります。そのラッパ男を作ったのは誰だろうと思ったメリーは雪だるまを探り当て、そして冒険に……。
さて、肝心の「プレゼントン」って何?というところですが、おじさんだったのです。それもただのおじさんではない。クリスマスに関係の深いあの方に縁のある……(詳しくは読んでみたほうがいいですね)。
何といっても見所は真冬を感じる挿絵。「雪だるまが裏どおりのかいだんをのぼっていく」、という場面の絵がお気に入り。異国風の商店の並んでいる町並み、一緒についていきたくなるような、あの角を曲がって……なんて考えてしまう絵なのです。
それとは逆におかしくてたまらない絵も。雪の積もったモミの木の山並をトナカイに乗ってサンタクロースの家に、という幻想的な場面。そして竜の出現、とここまではうっとりしたくなってしまう光景ですが、その次の瞬間、衝撃が走ります。雪男です。それも集団。この雪男軍団はたまらなくおかしい。クリスマスに場違いすぎる演出、憎いですね。さらに凄いのはサンタクロースの住まい。高い山を一つサンタクロースが自分で好きなようにアレンジしました、という妙な家。誇らしげな形はサンタクロースの顔そのものなんです。その入り口もさることながら、内部構造がかなり笑えます。サンタの手料理を食べてみたいですね。(サンタの顔の料理が出てきそうな気がする、この人なら)
プレゼントンおじさん、この方もとっても不思議。
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クリスマスにプレゼントを配っていたのはサンタクロースだけじゃなかった、というコージズキンさんアレンジがとにかく笑えます。最後のおんせんとか雪だるまたちも雪のおんせん(?)とか、そういう細かい話がおかしくて……幻想的な中に笑いがあります。
「雪のメリー」というのもちょっと気になる存在。自分そっくりの女の子が変わりを務めていてくれる、うーん、不思議だ。どんな気分なんだろう。あのガラスの玉でまた見ることができるようで、その後が見てみたいです。雪のメリーの話もあれこれ想像してしまいます。雪だるまとラッパ男その後、とか。プレゼントンさん出生の秘密とか、物語に出てこないあれこれエピソードを想像させるところが多いです。雪男、普段何しているんでしょう。クリスマスとか祝うのかしら。個人的には一番雪男の挿絵が好きです。棒振り回していかにも野蛮!というのがいい味です。
最後の最後で「メリー、クリスマス・プレゼントン」って言われて、初めて女の子の名前がメリーというのは意味があったというか、狙っていたのに気がついて、我ながら遅い!と言いたくなりました。

今年のクリスマスには「メリー クリスマス・プレゼントン」って言ってみたい。間違ってるって言われないといいんだけど。
〜参考サイト〜
■衝撃のサンタクロースの家の挿絵:
復刊ドットコムの『クリスマス・プレゼントン』でご覧になれます。
■ブログ絵本を読む:スズキコージ
『クリスマス・プレゼントン 2004/11/28』
『クリスマス・プレゼントン 2004/12/02』
この絵本、本当にいいですよね。スズキコージさんが描かれる雪景色は、なんだか光を発していて、とても美しいと思います。また、kmy さんもおっしゃるように、ユーモアと幻想とが絶妙にブレンドされているところも、すばらしいです。
私は最初、図書館から借りて読んだのですが、結局、買いました。クリスマスが近づいたら、また子どもと一緒に読みたいなあと思っています。
雪景色の絵は素敵で、サンタの家はおかしく、楽しみがいろいろある童話でした。
わたしも図書館で借りたのですが、機会があれば入手したいと思っているところです。
スズキコージさんの新刊について、
うちの上司のブログをTBさせて
いただきます。
最近、スズキコージ氏の本に惹き付けられていますので、絵本といっても見ごたえがありそうで、期待大ですね。ありがとうございました!