2008年02月10日

『新アラビア夜話』

 ボヘミアの王子フロリゼルがロンドン、パリの街を舞台に活躍する物語。アラビアンナイトに擬せられていることから来たタイトルであり、物語の結末に「とアラビア人の著者は言う」と出てくるだけでした。
4334751393新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-1)
南條 竹則 坂本 あおい
光文社 2007-09-06

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 ボヘミアの王子フロリゼルがジェラルディーン大佐と友に変装して入ったオイスタバーで出会ったのはクリームタルトを持った若者。この若者との縁で始まる「自殺クラブ」の連作短編3話とトマス・ヴァンデラー卿の所有する世界で6番目に有名とされるダイヤをめぐる「ラージャのダイアモンド」の連作短編4話からなっています。一番最初の短編には最初からフロリゼル王子が登場しますが、続く6話はフロリゼル王子とはどういう接点があるのか最初は示されずに別の人物を中心に据えて物語をフロリゼル王子に近づけていくのが面白いと感じました。

 このフロリゼル王子の活躍はどことなく日本の時代劇調なイメージです。遠山の金さんとか水戸黄門とか。自分の身分を隠してはその事件に切り込んで行くというような、そういう感じがします。人柄がよく、振る舞いや雰囲気が素晴しく、優しくも厳しい人物として描かれてる上、裕福だからこそできる「二輪馬車の冒険」のような手の込んだ方法で事件に臨むあたりも面白いのですが、ラストで事件後のフロリゼル王子の姿が可笑しさを誘いますが、王子は至って変わらない雰囲気をお持ちのようで、夫人が書いたとされる続編も気になるところです。残念ならが翻訳はでていないそうですが。
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