2007年12月26日

エスカルゴの夕べ

 クリスマス、いえ、クリスマスイブなんですよね、日本では。イブの夜には豪華な洋食やケーキを食べる日になっています。洋食の中身は主に鶏肉料理で、七面鳥に馴染みがない日本の人々にとっては似ている鶏肉で代用というのが定着したそうです。アメリカ人はクリスマスにはケンタッキーフライドチキンは食べないというのも面白い。(チキンとターキー、ケンタッキーについてはFBA井上奈々子『食の豆々知識』 Vol.31 クリスマスを参照)伝統的なクリスマスがない以上、何でも許される日本。そういうわけでお店では何でもかんでも「クリスマスに」ということで売っている。刺身もお寿司もピザも、とにかく「豪華」さを感じさせればOKです。だから今年は買ってみたのですよ、エスカルゴを。

 冷凍でやってきたエスカルゴはアルミのトレイに載っていて、グリーンバターらしきものが殻に詰まっています。作り方はいたって簡単。オーブントースターか魚焼きグリルで6〜7分焼き、バターが溶けて沸騰したら食べごろだそうです。これをフランスパンにつけて食べてもおいしいとのこと。なるほどね、フランスパンね。こうやって書いてくれてあるのなら、さぞフランスパンが合うに違いない。エスカルゴの本場のはフランスだし、ということで、さっそくフランスパンを焼くことにしました。
 常備しているリスドォルというフランスパン用の強力粉をこねて発酵させます。たぶんそんなにたくさんはいらないと思うので、半分はベーコンエピにしました。高温で霧を吹いて焼き、自家製フランスパンの出来上がり。オーブンの幅までの長さしか焼けないので、市販のバケットに比べると小ぶりで短いですが、それは焼きたてということでカバーします。

 準備完了ということで、エスカルゴを魚焼きグリルに入れます。専用のフォークが一本ついているとのことで、ビニールに入った二又のフォークが出てきました。バターが溶けてぐつぐつしたところを取り出しできあがり。熱々のうちに食べようと思ったら、専用フォークが行方不明です。いったいどこにいったのでしょう? 箱と一緒にゴミ箱に捨てた?さっき見たばっかりなのにありません。結局いまだに行方不明です。仕方がないので普通のフォークを殻の中に差し込むと、濃いグレーのくるっとまいた軟らかい身が出てきました。これが「エスカルゴ」か……いや、あまり考えると食べられなくなりそう。しかし、運よく(?)借りることが出来たパトリシア・ハイスミスの『11の物語』を読み終えたばかりでそのことがどうしても浮かんできてしまいます。もしかすると、このあたりがあの突起物? 口の中のこの噛んだ感触がカタツムリ……カタツムリって言うと食べられなくなりそう、これは「エスカルゴ」!と心の中で葛藤。そんな中下の子が歌いだしました。

「で〜んで〜んむ〜しむ〜し、エスカルゴ♪」

 ああ、何だか微妙。香草入りバターの風味はかなり好みの味で、フランスパンとも非常によくマッチしていました。ただね、その身の歯ざわりがぐにゃっとしていて、考えて食べちゃいけないな、と思いました。殻に入っているというところではサザエと似ていると思うけど、サザエの場合、出てきたところや動いているところやぬめっとした感じなどはあまり見せないものなので、気にしないで食べられる気がします。生き物が動く感じ、触った感じが口の中で想起されるから、なんとなく食べにくいのではないかと。子どもが歌わなかったきっともっと美味しかった、かも?!

 一度食べるという「経験」ができたので満足でした。もう一度はないかもしれません。生から料理して食べるのではなくて本当によかった。フランスでは普通の食材で、感覚でゲテモノな気がするだけ。イナゴも蜂の子もゲテモノだけど食べれるそのわけは、培ってきた文化の違いなのでしょう。

 今までに変わった食材で手がどうしても出なかったのはほかには「いるか」かも。かわいそうとか、かわいいから、というのではなく、なんとなく「食材」として想像がつかなかった……(静岡県では食べられるそうです。以前スーパーで売っているのを見ました)。

4006030460食と文化の謎 (岩波現代文庫)
マーヴィン ハリス Marvin Harris 板橋 作美
岩波書店 2001-10

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 何を食べるかという文化の差についての本。エスカルゴを食べながら思い出しました。久々に読み直してみようと思います。


posted by kmy at 14:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど!
そういう感じですかぁ。…やっぱり一度は食べてみたいような。
ハイスミスのカタツムリの話を読んでからだと、どうにも口に入れるのに抵抗が出て来るような(笑)。
にしても、ちゃんとフランスパンを焼いてしまうkmyさんに脱帽!
歌うなんてことも、子どもたちが大きくなって来るとなくなっちゃうので、これはこれで楽しいかも。

あ、アドレス帳のメアドの変更をしておきました。
メールソフトの不具合はよくありますのでお気になさらず。^^
Posted by ヤヤー at 2007年12月27日 23:02
ヤヤーさん♪
一度食べてみると、一度でいいかなあなんて思いました(笑)
ハイスミスはカタツムリをかう趣味があったと解説にあって、なるほどそういうわけでリアルなのね、と。
他にもカタツムリ小説があって、思い出しながら食しました。
パンはあまり苦ではないので、クリスマスは食パンをたくさん作ってサンドイッチでした。
歌は小さい子ならでは、かもしれません・・・。
メルアド、お手数おかけしました。
こういうネット関連のサービスはいつなくなってもおかしくない場合があるとふと思いました。
その昔はメルアド年2000円で契約したりしたことがあるけど、今はないだろうなあ。
Posted by kmy at 2007年12月28日 21:37
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