名探偵カーデュラとターンバックル刑事の短編が収められていて、『クライムマシン』『10ドルだって大金だ』に続きおすすめ。
![]() | ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY) ジャック・リッチー 河出書房新社 2007-09 by G-Tools |
カーデュラにしろ、ターンバックルにしろ、このリッチーが描く続き物短編の主人公たちは単に事件を解決して犯人を槍玉にあげるというのが目的ではないのです。事件の成り立ち、犯人を突き止めるのですが、「犯人はだれだれだ!」とは世間に発表しない。むしろ静かに現実に生きる人々尊重し、新たな騒動を起こすことを好まないのです。犯罪が犯罪を生む結果にならないよう、今の現実をどん底へ落とさないよう、敢えて事件は未解決という体裁を選ぶのが面白いものです。結果として、犯人がわかったけども、その犯人を告げない、あるいは「仲間の裏切り」を知らせないなど、事件解決が犯人発見・逮捕ではないという物語が意外と多くて、それが逆にいい味を出しているのではないかと思いました。
作品メモ
意外とタイトルだけだと思い出せないのは何故?と思い、キーワードを入れました。自分用です。
「正義の味方」(ゴシップ記事、ボディーガード)
「政治の道は殺人へ」(政治家、脅し)
「いまから十分前」(市長、爆発物)
「動かぬ証拠」(グラス、指紋、金庫)
「フェアプレイ」(夫婦、毒薬、だましあい)
「殺人はいかが?」(新聞記事、タイプの文字)
「三階のクローゼット」(外国旅行)
「カーデュラと盗癖者」(指輪、象)
「カーデュラ野球場へ行く」(シャワー)
「カーデュラと昨日消えた男」(仲間、タイプライター)
「未決陪審」(× 首吊り)
「二十三個の茶色の紙袋」(石鹸、簡易保険)
「殺し屋を探せ」(夫の殺人、クラブハウス)
「ダイヤルAをまわせ」(トラブルホットライン、病気)
「グリッグスビー文書」(博物館、血のついたナイフ)
これはぜひ読まねば。
『クライム・マシン』って、昨年の『このミス』で大賞になりましたよね。わたしには???な結果だったのですが。
どちらかというとミステリというよりもまるでSFのような印象だったので。
まあ、ジャンル分けするほうが無粋なのかも知れません。世の中って混沌としているのだし、白黒はっきりつけすぎるのも、いかにもな悪人を作り出してしまってるような気がします。みんな良心ばかりで生きてるわけじゃないのにね。
ともあれ、本を楽しむ余裕くらいは、いつも持ち合わせていたいものです。
今年の出版の本ではありますが、通う図書館は新刊が入るのが3ヵ月後くらいで、待っていましたという感じです。
ミステリーというよりは、星新一とかのショート・ショートのような感じがしました。
ジャンルというのはかなりあいまいなものですよね。わたし自身もハードSFが読みたいわけではなく、本格推理小説が読みたいわけではなく、その中間的な謎解きがありつつ、ちょっと「あっ!」というような結末のお話が好きです。
本を楽しむ余裕、ないときは本当にないものですよね。何読んでいても頭から抜けていく〜というとき、あります。
ようやく少し読書スピードが出てきたような。