2007年11月11日

『残酷な方程式』

4488614027残酷な方程式 (創元推理文庫 (614‐2))
ロバート・シェクリー
東京創元社 1985-02

by G-Tools



 ロバート・シェクリー(シェクリイ)の短編集。少し前に復刊されたので購入しました。表紙も一新、丹地陽子さん。SFなのかと思ったら、意外とそうでもない短編があります。読む前は「倍のお返し」を楽しみにしていたのだけど、意外とあっさりしていました。これよりも表題作は面白く、印象に残るのもいくつか。(よくわからなかったのもいくつかありますが……)表題作はロボット思考と人間思考の違いで基地に入れなくなった人間。ロボットをどう出し抜くかという生死がかかった試みをコミカルに描いています。


「記憶売り」
すべてを終わらせた最後の戦争の後に現れるようになった「記憶売り」という集団。そのひとりらしいスミスという男が村にやってきた。記憶売りの役割は失われたり、発禁になったりする文学作品を記憶し、それを文字通り売るのです。まず村に贈り物としてシェイクスピアのソネットやアリストファネスの戯曲の一幕などを贈ります。そのうち村のものは自分の所有物と引き換えに「記憶」を譲ってもらうようになるのですが――。この物語でいうところの記憶=文学作品ですが、ただ単に交換で何か物語を語って聞かせるわけではありません。「受け取る人間に合わせて詩句を選ぶんだ」(P159)というのが印象的。その人、その状況に合わせて選ばれる言葉、詩、物語というのを記憶売りは知っているのです。そして受け取る側もその言葉を渇望している不思議な生き物であると述べられているところもよくわかります。
プルタルコス欠乏のため病気になったり、アリストテレス不足でしんだりなんてことがありうるだろうか?
 ぼくはそれを否定できない気がする。ぼく自身、中毒者をストリンフドベルグからいきなり引き離したらどうなったか、この目で見ているのだ。(P162)

 言葉の持つ、物語の持つ力について、それを奪うこと、切望すること、得たこと。これは忘れがたい短編です。

「シェフとウェイターと客のパ・ド・トロワ」
この短編はあるときのある場所で起こった出来事、それに関わるシェフ、ウェイター、客の三人の独白という形で描かれるかなり面白いお話。ある夏の期間、あるお店で毎日お店にやってくる客がいて、その客にシェフは料理を出し、ウェイターはレコードをかけ、客はそれを食べるという出来事に対して、3人が感じていた状況の相違。なるほどね、自分が思っている状況と他人が思っている状況は実際にこれくらい違うのかも、なんて思うかも。
posted by kmy at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック