![]() | 夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345)) ロバート・A・ハインライン 早川書房 1979-05 by G-Tools |
時間モノSFの傑作。時間とひととそして猫。どれもがうまく絡み合って現実ができている。向かう先の未来はいつも明るい、明るいはずだと希望をもてる物語。
恋人、親友に裏切られ、発明は盗まれ、会社は追い出された主人公ダン。一騒動の後、冷凍睡眠により30年後に目を覚まして見た未来の世界。そこでダンが経験する驚き、出会い、過去との決着、謎。過去と未来が密接に繋がりあって、パズルを解くようにひとつひとつのピースが30年後の世界で合わさり、ラストで完成していくような物語です。
未来と過去との関係を結びつけるために出てくる特殊な時間移動。ひとつは冷凍睡眠により、過去のある時点で冷凍状態になりそのまま年を取らずに何十年後かに目覚めるといものですが、もうひとつは「タイムマシン(ネタばれです)」の存在です。この物語で非常に好きなのは、可逆性がない時間移動だという理論。ほとんど賭けの世界。行ったら行ったきり、同じようには戻れないというもの。そこがたまらなくいいですね〜。自由に行き来できない過去-未来という形で示されているのが面白いです。たとえば、中世などの大昔の過去に移動することも理論は可能だが、移動先の過去では技術が追いつかない、材料が入手できないなどの理由で、同じ未来の装置を作ることはできない、動力が得られない(ここでは非常に強い電力が必要という設定なっています)ので、もと来た現代へ戻ることはできないというような(ネタばれの理論についてです)ことが書かれています。なるほどなるほど、と納得。時間移動ができるのですが、過去では未来のお金は使えません。それに関してもうまく解決しています。
この話の中でダンが「食事は親しい人としか取りたくない」という理由で、裏切った恋人が「食事に誘ってほしい」と言いますが拒否します。食事に誘えるというのは特別な親しさなのです。そんなちょっとした場面にもいろいろ共感します。
この家にも同じ猫の後ろ姿の文庫本があるそうです。
昔の文庫は字がちいさいですねぇ。
kmyさんの書いてる断片さえほとんど知らないというのも恥ずかしい話ですが、SFを読み始めると止まらなくなった時期もありました。
この本は書評ではなく表紙の猫に惹かれて買ったもの。
そろそろ引っ張り出してあげないといけませんね。
最後に書かれているエピソード、これはまったくその通りだと思います。食事は楽しく食べられるひととでなければ、意味がありません。
破綻のない構成だけでなく、こういった部分に表れる作者の考え方なども面白そうですね♪
たぶん、中学生のころ、この本を買ったような気がします。今回は借りてきましたが。
そのころ、SFに凝っていて、とりあえず買ったり借りたりしたのですが、読んだものも読んでないものもどれも覚えていないのです(大汗)
ハインラインの短編がよかったので、ほかにと思ったらこれくらいしか図書館になくて、とりあえず読んだら、確かにこれは名作だと思いました。
他にもハインライン、読みたいのですが、文庫はあまり置いてないです、近くの図書館。
買おうかどうか、と悩んでいるところですが、気になるのは軒並み絶版で、古書店サイト回ってます。
初めて読んだ日から、何度夏が巡ったのでしょう。
心の残る本は、いつまでもタカラモノですね。
初めて最後まで読んだのですが、なんだこんなに読みやすくていい話だったんだ、と思いました。
ハインラインの時間ものを続けて読みたいと思っているところです。
いつまでも心に残る本、本当に「タカラモノ」です!
猫好きのためのSFとして愛されている名作です。
時間SFとしてもなるほど、よくできていて面白く、ハインラインいくつか読みたくなりました。
過去と未来の因果関係がわかったとしても、簡単にはいかず、結構主人公ががんばるところでいいなあと感じます。
時代背景もあるのでしょうが、「未来」が輝かしく感じる、感じられます。