2007年07月05日

『復刻S-Fマガジン NO.1-3』

415207955X復刻 S‐Fマガジン〈No.1‐3〉
S‐Fマガジン編集部
早川書房 1995-10

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 いつもとは違う本棚の間をうろうろしてみたら、こんな本に気がつきました。借りて来て見ると――これはいい! SFというジャンルが確立しはじめた初期の作品が揃っています。ということで、いろいろ覚書しておきます。

〜収録作品一覧〜(お気に入りは★マーク)
 「七年に一度の夏」R.ブラッドベリ 
 「太陽系最後の日」A.C.クラーク 
 「限界角度」B.チャンドラー    
 「危険の報酬」R.シェクリイ    
★「探検隊帰る」F.K.ディック   
 「次元断層」R.マティスン     
 「やがて明ける夜」I.アシモフ   
 「愛しのヘレン」L.デル・リイ   
★「地獄行き列車」R.ブロック          

 「無任所大臣」M.クリンガーマン
 「檻(おり」B.チャンドラー
 「恋愛株式会社」R.シェクリイ
★「モハメッドを殺した男たち」A.ベスター
 「ノック」F.ブラウン
 「スタート・ライン」A.C.クラーク
 「もの言う石」I.アシモフ
 「犬の散歩も引き受けます」ロバート.A.ハインライン
 「第10時ラウンド」J.T.マッキントッシュ

★「無人国道」ウィルスン
★「地下三階」フィニィ
 「みどりを育てる」クラーク
 「ダイアローグ」グーラート
 「エレンへの手紙」デーヴィス
★「電送人間」バンクス
★「目的地」ローゼンバウム
 「荒廃の惑星」フォントネイ
★「輪廻の蛇」ハインライン
★「狂った星座」ブラウン
 
 この初期の作品を読んで思ったこと――壮大な宇宙テーマのSFが実は苦手だ!ということに気がつきました。先日興味を持った「2001年宇宙の旅」の作者クラークの作品が掲載されていましたが、なかなか世界に入り込めませんでした。
 逆にすきなのはパラドックスものです。論理の中に浸かりこむのはなかなか楽しいのです。え?だったら、この場合はどういうことになるの?と頭を悩ませることが面白い。


「モハメッドを殺した男たち」
 妻の不貞を阻止しようとタイムマシンを使って先祖を殺し、ナポレオンを殺し、モハメットを殺した先に出会う現在の形はどうなるのか?ということを描いています。これ、すごくよくわかるというか納得。このタイムマシンの理論はよくわかります。過去とはどういうものなのか、という扱いがいいのです。
「人間が過去を変えたとき、それは自分の過去に作用するのであって……ほかの人間には関係がない。人間の記憶を消すとき、自分を消すのであって、ほかの人間を消すことにはならない。君も私もわれわれの過去を消去したのだ。他人の独立した世界はつづいていが、われわれは存在することをやめたのだ」(ネタばれを含むので読む場合は反転を)
第2号P47より


「輪廻の蛇」
 これはやはり名作ですね。この小説での未来はすでに過去になっているのです(1970年など)が、そういうことはあまり気になりません。私生児の母を呼ばれる「男」の過去を聞き、過去へと「男」を飛ばす未来から来たバーテン。そこで起こる出来事と現在と未来との関わり。自己存在に悩む「男」、予定調和的な未来と過去のつながりなどが印象に残る作品。この後はどうなっていくのだろう?という余韻も感じます。

「地獄行き列車」
 地獄行き列車、そんなものがあるなら、と考えていたマーチン。車掌は条件付でこの列車に乗るよう取引をする。マーチンが出した条件は「一番自分が幸福だとわかったときに時間をとめることができるようにしてほしい」と願い時間をとめる時計をもらう。そこから幸せな時を追い求めて、一歩ずつ世俗的成功に向かうマーチン。昇給、自動車の購入、結婚と向かうも、そのつど時計を止めようとするものの「もっと幸せな瞬間があるかもしれない」と思いとどまるうちに、離婚、病気、老衰が彼に降りかかる。気がつくと地獄行き列車がそこに……。
 この作品はブラックでひねりが効いています。人間誰でも今以上に幸福な瞬間はないと思うときはないものです。やはり時計はやはり使わずに終わるだろうと思っていると、あっと言わせますね。瞬間と永続的な時間、両方がうまく使われています。

 とりあえず自分用に感想のメモ。「狂った星座」も面白いアイディアです。ある日星座が動き出したその理由、理論がなるほどです。「目的地」は短いながらもオチが効いています。
posted by kmy at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | アンソロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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