2005年06月20日

つながる、つながる。

 最近、村上春樹さんの本を手に取ってしまう。今まで全くと言っていいほど興味がなかったのだけど、村上さんの本だとは思わずに借りた『羊男のクリスマス』がきっかけだった。 
 佐々木マキさんの絵本を検索していたところ、『羊男のクリスマス』という絵本があるというので、借りて読んでみようと思って探したが見つからなかった。どうりで「佐々木マキ」の棚にないわけだ。作者が村上春樹さんだったのだから。
 『羊男のクリスマス』は妙なお話だった。そしてシナモンドーナツの匂いがしそう。シナモンはちょっと苦手ということはおいておいて、「羊男」とネットで検索する。この絵本は村上春樹ファンにはたまらないキャラクターたちが登場するとある。村上春樹さんの本をもっと読むと羊男に会えるかもしれない、そんな理由で村上春樹さんの本を読んでみることにした。
 村上春樹さんといえば『ノルウェイの森』(未読)の作者でC.V.オールズバーグの翻訳者というイメージしかなかった。思いがけず佐々木マキ→羊男→村上春樹に辿りつくことになった。そして、最近羊男が出てくるという新作が出たという情報を元に『ふしぎな図書館』を借りてみる。

4062023636羊男のクリスマス
村上 春樹
講談社 1985-11

by G-Tools


 『ふしぎな図書館』は本のサイズが小さいわりにハードカバーでケース付きの立派な本で、中のイラストもカラーだった。すべすべした表紙はスポンジのようなものが入っているらしく、さわるとふかふかして気持ちいい。羊男はやっぱり羊男でドーナツをあげていた。羊男は美少女なんかいない、と言い、そのことを「僕」が美少女に尋ねたときの答えが一番気になる、そしてそうだと思えるし惹きつけられることばだった。ネットの中でうろうろ探し回り、誰かの文章を読んでいるときのわたしはある意味この美少女のような感じなのかもしれない。そして、自分の拙い文章を読んでくれているわたしは羊男のようなものなのかもしれない。
 
 『ふしぎな図書館』を返却した翌々日、実家の屋根裏に置いてある古い本を古紙回収に出すべくダンボール箱をおろしてみた。わたしの趣味ではなかった文庫本が十数冊でてきた。たぶん妹のものだと思う。その中に思いがけず一冊村上春樹の文庫があった。『カンガルー日和』である。奥付を見ると1989年発行。うーん、なぜこれを買ったのかはわからなし、当時の妹はあまり好みではなかったのだと思う、この一冊しかなかったから。とにかく、いかにももう読まないであろう少女小説の類は処分することにし、その一冊だけ持ち帰ることにした。
 『カンガルー日和』の中に『図書館奇譚』という、『ふしぎな図書館』の最初の形の作品が入っていて、つい一昨日に返したばかりの内容を思い出しながら読み返すのはとても楽しかった。佐々木マキ→羊男→村上春樹→『ふしぎな図書館』と続いた連鎖は、屋根裏から出てきた本でまた結ばれた。こういうちょっとした偶然のつながりで読んでみた村上春樹さんの本は、とても現実的な世界の中で妙な感じを味わう。それでどうなの、と思わせる物語なのに、その中にまたどっぷり浸かって、その感覚を味わいたくなる、そういう短編集だった。
 そして、bk1で検索し直した「村上春樹」。果てしなく作品は多かった。嬉しかった。


posted by kmy at 19:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 村上春樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさん、はじめまして。といってもヤヤーさんのところでは何度もすれ違っていたのですけれど。
今日初めてこちらへお邪魔して、春樹さんのカテゴリーがあったので、嬉しくなって書き込みしています。
『ふしぎな図書館』は僕もとても好きな本です。おっしゃるとおり、なんとも言えない「現実的な世界の中で妙な感じを味わう」ことができる作品ですよね。
これからも遊びにきたいと思います。よろしくお願いします。
Posted by オカダ at 2007年04月02日 19:16
オカダさん、はじめまして♪
ヤヤーさんのお店に来る常連として、近くのカウンター席に座っているような感じですが、こうしてコメントいただけて光栄です。
村上春樹氏の小説を読み出してからはまだ日が浅いのですが、『ふしぎな図書館』はとても好きです。『図書館奇譚』と比較するのも楽しいですね。
奇妙な設定ではありますが、「こんなことはありえない」というよりもも、「そういうことがあるかもしれない」と感じさせるところ、感覚として自分のなかをつつくような気がするのが魅力です。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
Posted by kmy at 2007年04月03日 13:17
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