2013年03月12日

『遠い野ばらの村』

遠い野ばらの村 (偕成社文庫)
安房 直子
偕成社 ( 2011-03-17 )
ISBN: 9784036527106


 「久しぶりに音読の宿題がある」と子どもが言うので、その音読を聞いていました。聞いたことあるお話だ……と思って作者を見ると安房直子さんの「初雪のふる日」でした。最近「銀のくじゃく」が読みたくなって出しておいたけれど、「初雪のふる日」が載っている『遠い野ばらの村』のほうを先に読むことに。教科書の作品よりも、「海の館のひらめ」や「ひぐれのお客」が気に入っていますが、猫を飼い始めてから「猫の結婚式」を読むと、ちょっと気になりました。よくうちに来るよごれた黒猫(うちではくろすけと呼んでいる)が、白い猫ではないけどうちの飼い猫白黒のメス、ニヤをお嫁さんにしてどこかに行ってしまう・・・というのを想像してしまった。猫の町に行ってしまったら、いやだな、と。昔読んだのとは違う印象を持ったのが面白く感じました。


 安房直子さんのお話はずっと教科書に載り続けているんだな〜と思うと、とてもうれしい。わたしもちょうど子どもと同じ小学生のころ、安房さんの「青い花」が教科書に載っていて、それから図書館で借りて読み、大学生のころ、古本屋さんで見つけて数冊購入して楽しみ、そのあとまた子どもが読むのを聞いたり。短編ですぐに読めるけども、色の描写があざやかで、お料理が美味しそうで、ふと引き込まれる異世界にどきどきする。

 最後に収録されている『エプロンをかけためんどり』は切なくも希望があるお話。母親が亡くなり、病気になった父親と3人の子供の下にやってきたエプロンをかけためんどり。食事を作り、掃除をし、縫い物をする。そして何より長女の初美に「魔法」を見せてくれる。最初のころこそありがたがっていた父親の三十郎だが、だんだんそのめんどりの存在がうとましくなり、新しい妻を迎えることにする。三十郎の思惑にめんどりは気づいているのだけど、その運命に抗うことなく受け入れる。哀しいけれど、それは仕方がないこと? 新しい母親ができるというのはいいことなのかもしれないし、いつまでもめんどりの世話になるのも普通ではないのかもしれない。それでも、めんどりと初美には特別な絆を感じさせる終わり。三十郎が最初は感謝していたのに、子どもが綿鳥に懐いているのが面白くない、おかずが卵焼きと漬物なのも気に入らない。その人間の気持ちの変化もわかる気もします。

 
posted by kmy at 20:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 安房直子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
安房さんのことを自分のブログに書いて、kmyさんのところにきた時に、あら!
親しく思っている方と、時々こんなことがあります。うれしいです。

私の、初めて読んだのは「きつねの窓」です。
子どもの頃です。

好きだったのに、ずっと読むことを忘れていて、最近また安房さんにひかれています。
Posted by ネムリコ at 2013年03月26日 00:49
ネムリコさん
安房直子さんはいいですよね♪
ネムリコさんの記事も拝見しました。
絵本になるとまたそれはそれでいいものですよね!
別記事にした「ひめねずみとガラスのストーブ」がよかったです。

わたしが最初に読んだのは「青い花」でした。今も昔も教科書に載っている安房直子さん!ふっと異世界にはいる怖さがあったりします。明るく楽しいより、少し影のある感じの作品が好きですが。
意外と子どもも「きつねの夕食会」をよく覚えていて、なんだか嬉しくなりました。
Posted by kmy at 2013年03月26日 16:11
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