2005年05月02日

真ん中ということ。

 子どものころ、グリム童話を愛読していましたが、ひとつだけ不満があったのです。どうして兄弟(姉妹)の真ん中の扱いっていい加減なの?と。 
 わたしは三人姉妹の真ん中で、なかなか主役になれない次女。姉っていう存在は普通の生活でも得っぽい感じがありました。お年玉も多いし、何かと自分の都合を通すこともできるよう(と、子どものころのわたしは思っていました)。それに妹は妹で、いつまでたっても「小さいんだから面倒みてやりなさい」と大事にされるいるように思えて。
 グリムに限らず昔話の類では、末っ子というのは最後に幸運ををつかむのが当たり前。物語の中で三人娘の次女、三人兄弟の次男が出てきても、旅に出た兄が幸運を逃すと、もれなく同じことした、と端折られて終わりになっているんです。(たとえば『背嚢と帽子と角ぶえ』(KHM54)三人娘がいると、たいてい一番きれいなのは末娘。(たとえば『蛙の王さま』(KHM1)上の子は意地悪もするし、面倒なことは下に押し付けるから幸運を逃すのも仕方ないでしょう。でも、二番目って何だか損なんじゃない? 結局家の財産は一番上の子に、幸運は末の子に(しかも美人)。そんな気になる「二番目」はいつでも「二番目」な感じ。決して一番にはなれないの?と思っていたら、こんな話があったんです。

 『一つ目、二つ目、三つ目』(KHM130)。この三人娘はタイトルの通り、一番上は目が一つ。二番目は二つ。三番目は三つという姉妹。しかも本当の姉妹なのです。二つ目は普通の子と一緒なので母親と姉、妹からいじめられているのです。しかし、いじめられたかいがあってか、あるとき幸運をつかむことに。いつも残り物しか食べさしてもらえなかった二つ目がごちそうを出すヤギをもらうのです。しかし、しばらくうまくいくものの、ばれてしまって、ヤギは殺されててしまいます。死んだヤギのはらわたを埋めると、銀の葉、金の実のなる木が生えてきて、王子さまに見初められて結婚する、めでたしめでたし、というお話です。しかも後日談があって、二つ目は物乞いにきた姉、妹の面倒をみてやり、姉妹はいじめたことを後悔したということでした。

 
 現実では真ん中ってどうなのでしょう? 間に挟まれているだけに、自分自身でその存在をどうアピールするか、ということを無意識のうちに表現しようとしていたような気がしています。姉でも妹でもない真ん中という位置だからこその何かが欲しい、って思っていました。
 想い起こしてみると、真ん中って損?と思っていたわりに、姉になりたいとか、妹になりたいと思ったことは実はない、と気がつきました。真ん中は真ん中。姉でもない妹でもない、姉でもあり妹でもある。それはそれでとてもいい。今、そう思うのです。

物語のタイトルは完訳グリム童話集1〜5 (岩波文庫)金田鬼一訳 に従いました。
posted by kmy at 17:26| Comment(4) | TrackBack(0) | グリム(童話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさん はじめまして

ぴぐもんさんのブログからたどって、やってきました。
わたしも、三姉妹の真ん中です。そして、ハンドルネームはnoelですが、名前はクミコといいます。
村上春樹の文章にも惹かれます。
なんか 共通点がたくさんありそうで うれしくなりました。
これからも 来させてもらいますね〜

ところで、真ん中が損をするという話。
確かにそれはありますが、上と下に挟まって、外部からの傷を受けにくい ということはあるのかもって思います。マイペースでいられる。
でも、子供の頃は、かんしゃくもちで母を困らせていましたが、今は一番 親に迷惑をかけていません。それが、母は寂しいようなのですが。

次女として注目すると、「若草物語」や「大草原の小さな家シリーズ」そして、今 映画で上映中の「プライドと偏見」は、みんな個性豊かな主人公だということに、わたしは注目しているんですよ。
Posted by noel at 2006年02月12日 21:42
noelさん、はじめまして♪
意外な記事にコメントがついて驚きつつ、共通点がいくつもあってこちらこそ光栄です。真ん中娘はマイペース、確かにそうかもしれません。姉と妹に挟まれて、わたし自身もなるべく親の負担にならないように、なんて考えてしまいます。『プライドと偏見』といえばジェーン・オースティン。J.K.ローリングさんが好きらしいので一度は読もうと思いつつ未読。(映画もですけど)今度読んでみたいと思います。『若草物語』は子どものころ大好きでした。ジョーと重ね合わせていたかも。
こちらこそよろしくお願いします。
Posted by kmy at 2006年02月13日 16:10
この記事が好きなので、目立たないようにと!?こんなところでコメント。
ヤヤーさんのことで、私がいらんこと書いたからkmyさんがコメント返し漏れているということは・・・?(雨オンナ)
もしまた、私のPCからは見えないだけだったら、おせっかいでごめんなさい。

うちは3人兄妹で、真中(私の兄)に悲哀を感じたことはまーーったくないのですが、異性3人兄弟の真中の友人が何人かいて、皆’ある話’をすると涙ぐむのです。
私の友人(真ん中っ子)の家に結婚の申し込みに行った男性に対して、そこのお父さんが「この子はまん中で、小さい頃から親に上手に甘えなかったから、これからはあなたが甘えさせてやって」というもの。
末っ子である私も、聞いた時は感動して涙ぐんでしまいましたが。。
Posted by あり at 2006年04月03日 01:01
ありさん、ご指摘ありがとうございます。なぜか消えていました。単に送信ミスかもしれませんが。

ありさんも三人なのですね。友人の結婚エピソード、素敵です。いいないいな。ちゃんとお父さんは見ていてくれていたのがわかる、そういうお話ですね。「甘えさせてやって」のことばに愛情を感じます。
ありさんはお兄さんがいての妹なんですね。グリムのイメージだと「七羽のからす」とか「六羽の白鳥」などが浮かびます。最後に生まれた女の子が鳥に変えられてしまった兄を助ける、というけなげな話が多いです。
Posted by kmy at 2006年04月03日 09:13
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