2007年01月28日

『おかしの男』(創作子どもSF全集10)


佐野 満津男, 矢野 徹, 小沢 正, 光瀬 龍, 大石 真, 山藤 章二, 杉浦 範茂, 田島 征三, 小林 与志, 中村 弘 / ブッキング
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 懐かしい! このシリーズは昨年復刊したと聞き、すっかり忘れてしまったので読みたくなりました。というわけで図書館に行ってリクエストすると――書庫から出てきました。しかもかなり古い! わたしが読んでいたときはもう少しきれいな本だった気がするのに、と思って奥付を見ると69年。生まれる前だ〜。調べてみると80年代に一度復刊したそうで、わたしが読んだのはおそらくそのころのもの。あまりよくは覚えていないのですが、表紙はつるつるの光沢紙だった気がしますが、借りてきた本は絹目の紙でした。
 まあ、読めれば、なんて思っていたらひどいものです。めくってみると、なにやら落書きがいっぱい。鉛筆書きでいろいろ電話番号やら子どもの名前やらが書いてあります。古いのは仕方ないけど、こういうのはやっぱり気分が悪くなります。それでも、懐かしみながら『おかしの男』を読んでいると――むむっ? これは! ページが抜けている! それも10ページも。なんだか本当にがっかりして返却しに行きました。

「落書きも凄いし、ページが10ページくらいないんです」

 一応、言うだけ言っておこうかな、と。すると、

「この本は新しくなって出版されたようなので、入れてもらえるよう頼んでおきますから、リクエスト用紙に書いてください」

 と、言ってくれたのです! やったあ! ひそかに「確かシリーズで分売不可の20巻セットだったはずだけど」と思いつつお願いしてきました。
 それから3週間ほどして電話がかかってきたので、新しい本を借りることができたのです。
 というわけで、『おかしの男』です。

 文字通り、おかしでできた人間のお話です。主人公の早川速雄は家出人を探す本田清という青年に会います。そこでビラ配りのアルバイトを頼まれます。そのときの報酬が抱えるほど大きな丸い穴の開いた5000円銀貨の形をしたチョコレート! これだけは忘れませんでした。こんな大きなチョコレートがあったら、それだけでわくわくしてしまって、物語はどうだったかすっかり忘れていました。チョコレートの銀貨をもらうところは導入部で、その後家出人として追われている光岡蜜夫という青年に会います。この人、なんとおかしでできているというのです。ボンボン製菓でできた企業秘密のおかし人間。光岡蜜夫は研究所の実験の繰り返しから逃れて「好きな女の子にに自分をかじらせたりできる自由なおかしになりたい」と言って逃げてきたのです。
 お話は突拍子もないのですが、おかし人間がいかにもありそうな感じで描かれていて面白いのです。おかし人間には再生能力があるというのも面白いものです。しかし、そこは「人間」ですから、人間でありおかしでもある「おかし人間」ならではの苦悩があり、それを開発したボンボン製菓の研究員光岡さんの悩みともつながり、自体はどたばたと進んでいきます。

 物語にだけ存在できる「おかしの男」。読んでいる自分にだけは本物として浮かび上がる世界。ずっしり重いチョコレートの匂いが漂ってくるような面白いお話です。ラストは少々奇妙な形で終了していくので、おかしの男のその後は読者が想像する楽しみとして残っているような気がします。

 図書館ではやはりシリーズだけに20巻セットで入れてくれたようでした。いくつか読んだことがあるはずなのですが、全然覚えていないので利用させていただこうと思っているところです。SFが好きだった時期がありますが、このシリーズはSFに触れた最初だと記憶しています。
posted by kmy at 16:00| Comment(10) | TrackBack(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やりましたね♪
せっかくのシリーズ物。こういうときこその図書館ですよね。

たぶんわたしは読んでないなぁ。
でも、kmyさんの紹介文を読んだだけで、なんだかワクワクして来ました^^
子どもの頃に読んだ本って、けっこう特別ですよね。
で、大人になってから読んでもやっぱり面白いものが多いような気がします。
ただのひいき目かもしれませんが(笑)。
Posted by ヤヤー at 2007年01月28日 21:30
これは本当に読んでない(笑)
ので、予約です♪
なぜか最近娘が借りてきた少女マンガを
必死に読んでいます。
「花より男子」まだ5巻・・・
Posted by okan at 2007年01月28日 23:01
ヤヤーさん、図書館の方も分売不可はわかっていたかどうかは不明ですが、とにかく新品で読めるのはうれしいことです。
わたしが通っている図書館は蔵書が少ないので、毎度どこそこの図書館から取り寄せ借りを繰り返しているので、すぐに借りれるのは本当にうれしいです♪
他の本は読んだか読まなかったか、何冊か読んではいるはずですが、まったく思い出せないので、通して読みたいと思っています。子どものSFだけにおかし人間とか許される世界で面白いのです。著者と挿絵が今から考えるとかなり豪華です。



okanさん、まだ全部読んでいないので、ぼつぼつ感想書いていきたいと思っていますが、この本だけはチョコレートの銀貨が忘れられませんでした。当時5000円の価値だそうで、今ならもっと高額(?)
『花より男子』、娘さんが借りてきたそうですが、その気持ちわかる気がします。子どもが面白そうだとわたしも結構気になるタイプです。
ハンドル変更されましたか? たぶん、香香さんだと思ってコメント書いています。違っていたらすみません〜。
Posted by kmy at 2007年01月29日 15:31
kmyさん、こんばんわ

 この本私も小学校の時読みました。なんか懐かしいです。お菓子でできた男が出てくることしか記憶に残ってませんが、機会があったら是非読みたいです。おかしの男の名前が(みつおかみつお)というのもアンパンマンみたいに再生力があるのも面白いですね。そういえば私の記憶が確かならおかしの男は自分の顔を子ども達に食べさせていた気がします。
 学校の図書室にこのシリーズが並んでいて、中でも「消えた5人の小学生」という話がちょっぴり怖くて面白かったのを覚えてます。

 
Posted by ぴぐもん at 2007年01月31日 20:57
kmyさん、正解です。
無意識に間違えてました(笑
ネット内二重人格?!はナイショなのに・・・

Posted by okan at 2007年01月31日 22:22
ぴぐもんさん、そうそう、あんぱんまんのような感じかもしれませんね。意外と思い浮かばなかったです。
おかしの男は子どもたちに自分を食べさせていましたが、顔ではないです。ぴぐもんさんの記憶の顔を食べるはある意味あっているというか、読んでいくうちに顔に関するものがでてくるのでそのあたりも印象に残るところだと思います。
『消えた5人の小学生』も次回借りてきたいと思っています。シリーズで記憶があったのは『おかしの男』くらいで、読んだのも何冊かあったとは思いますが全然覚えていません。それだけに読むのも楽しみです。
ぴぐもんさんにとっても懐かしいシリーズだそうで、うれしくなりました。


okanさん、別ブログがあったのですね! なるほどなるほど〜。意外でした。楽しい内容ですね♪ 思わず笑ってしまいます。関西だとは存じませんでした。またコメントさせてくださいませ♪

Posted by kmy at 2007年02月01日 13:30
はじめまして。ずっと、タイトルがわからず「おかしの男」を捜していて今日、復刊ドットコムで書き込みをいただき、思い出しました。「チョコレート男」だと思っていたので見つからなかったのです。で、「おかしの男」で検索して懐かしんでいるところ、こちらのブログに巡り合いました。嬉しくて、コメントさせていただきました。私が読んだのも小学校の時で、「小さいおばけ」「びりっかすのこねこ」と「おかしの男」この3冊が愛読書でした。すべて復刊されました。ただし、私が読んだのは初版です。40年前です。近くに図書館がないので、街まで出ないと!長々お邪魔しました。
Posted by ユッタ at 2007年08月01日 21:38
ユッタさん
コメントいただき、ありがとうございました♪
「おかしの男」はわたしにとってとても懐かしく何度も読んだ物語で、チョコレートの銀貨や鼻がもげるところなどは忘れられない場面です。
「小さいおばけ」は読んだことがあると思いますが……よくは覚えていません。プロイスラーは「小さい魔女」が大好きでした。「ねこ」は残念ながら未読です。わたしは第二版で読んだようなのですが、それでもかなり大昔になってしまいます。この本だけ、という販売はないので、結局図書館頼みなのは一緒です。そして、図書館が遠いのも同様です。わたしの行く図書館は車で30分、隣の市にいかないといい本がありません。(市民でもなくても貸してくれて、リクエストの「おかしの男」が入れてもらえるのは幸せなことなのですけどね)
Posted by kmy at 2007年08月02日 18:57
そうそう!やっぱり鼻がもげましたよね。
それと、腕?をかじった時の食感が今でも残っています。不思議なお話だった記憶はありますが、SFだったとは思いもよりませんでした。
ぜひ、この夏の「課題図書」にしたいです。
ありがとうございました。

PS.
「小さいおばけ」は、手放せず、ボロボロになった初版を持っています。復刊されたのですが、訳者が違ってしまって。機会があったら、「大塚勇三」さんの訳で読み返してみてくださいね。
Posted by ユッタ at 2007年08月02日 23:02
ユッタさん
わたしも「SF」というカテゴリーの感じはあまりしませんでした。なんだか甘いにおいがしてきそうで、こういうのはお話でしか楽しめませんよね。腕をかじってみたら、という場面も印象に残る部分でした。バターをむしゃむしゃとか、そういうフレーズもなんだか忘れずにいて、再確認してみるとそうそう!と懐かしい面白さでした。
「小さいおばけ」も読んでみようと思います。新版が出るのはいいことなのかもしれませんが、昔読んだりしていると、やはりそのときの訳がいいな、と思うのはわかります。大塚さんの訳、図書館で探してみます。
Posted by kmy at 2007年08月03日 18:59
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