2011年11月17日

川端誠さん

 先日、友人と絵本作家のトークライブに行ってきました。その中でも気に入ったのが川端誠さんのお話。まず掴みは『うえきばちです』。この植木鉢に植えたもの、めが出て、はが出て…というナンセンスな絵本。どっと笑いが起こりました。

 スライド形式で、自身の仕事風景を紹介されます。取り上げたのは『おばけの海水浴』や『おばけの真夏日』。子どもが保育園のころ、よく読んだ覚えがあります。まず虫取り風景の元になった森の写真。それを自身の絵に取り入れたのがこれです、というように、まず作品に描かれている元ネタというか、資料を紹介して絵と比較してみたのですが、これが面白い! 川端さんの絵はどれも元になる資料があるそうで、ろくろ首の着物の柄は着付けの本などを見せて、ああ、同じ柄!と頷きます。川端さんの凄いところは、この資料の写真などをかなり忠実に描いているところを比較するだけではなく、そのトーク力でした。「スポーツショップに行って、、ダイビング用品のカタログをもらってきました。これです」と言いながらカタログの写真を見せたあと、同じダイビングスーツを着たろくろ首の絵が出てきてます。さらに「カタログをもらうだけでは悪いので、シュノーケルを買ってきたんです。これが8000円」「このシュノーケルがここに生かされてますね」と行って、砂かけばばあがシュノーケルを付けている絵が出るのです。もちろん、絵本作家さんだから絵がうまい、というのは当たり前なのですが、なんとなく描いているのではなく、きちんと資料に忠実に描いていあるところに感動しました。川端さんは資料集めが好きとのことで、廃品回収に出てた雑誌「アン・アン」の一ページの水着の写真をさっと1ページ切ってきて、これをもとに描いた絵と言ってまた紹介されました。「あんまりこういう雑誌をじっくり見ていると怪しまれるので、さっともらってきます」と言っていました。その他、船盛の写真が載った料理屋さんのメニューはそっくりそのまま、同じ盛り付けで絵になっていました。海の深いところの色味の出し方とか、波の描き方など、一つ一つのこだわりを聞いていると、さらっと文章を追ってみるだけでは勿体ない、と感じます。

 『十二支のお節料理』の製作風景も紹介されていました。こちらは版画で描かれています。まず下絵を写した板をカッターで彫っていく、という地道な作業です。「これが一日目、これが二日目、三日目でやっとこのくらいです」「これが35ページあるから……あ、計算しちゃいけませんよ、嫌になるから。もう飽きてます。でもはじめればいつかおわるんです」名言ですね。「はじめればおわる」その通りなんだけど、なかなか何かを始めるのって億劫になったりします。考えると、とても面倒になる。でもはじめればおわる、このことばは強く印象に残りました。

 トークライブの後はサイン会。わたしもサインしてもらってきました。その絵本がこれ。

少年少女版 日本妖怪図鑑
岩井 宏実
文化出版局 ( 1987-06 )
ISBN: 9784579402649



 友人と並んで待っていると、スタンプが用意されていて、アシスタントさんらしき人がサインの前に押しています。『おばけの真夏日』の人はひとつめこぞう、『おにのめん』の人は女の子のスタンプでした。友人が「ひとつめこぞうのスタンプがいいんですけど」と聞いたら、アシスタントさんが「先生のこだわりがあるので、絵本とあったものになるので選べないんですよ」と言われてしまいました。じゃあ、しょうがないよね、と友人の順番になったら、スタンプを押さずに川端さんに渡しました。『大岡さばき』の絵本ですが、手描きイラストで小僧さんを描いてくれていました。わたしは何だろう?と思って絵本を出すと、アシスタントさんが「わぁー、懐かしい。これ、売ってましたか?」と言われました。確かに、この本は1冊だけしか売ってませんでした。ちょっと珍しかったようです。わたしのもスタンプではなく、手描きで一つ目小僧を描いていただきました! 友人と「手描きで描いてもらえて、『おばけ』シリーズよりよかったかも」なんて話ながら帰ってきました。最近、また絵本が読みたくなってきたところで、とても楽しい時間でした。絵本の絵はじっくりゆっくり見なくては、と思うこのごろでした。

川端誠さん参考サイト:
川端誠のお化け屋敷へようこそ
落語絵本製作のひみつ(製作風景を紹介した記事です)


posted by kmy at 21:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こないだからここにはコメントを入れなきゃと思いつつ、すっかり日にちが経ってしまいました。
川端さんはとても面白いかたですよね!
何度かお会いしたし、サークルでお招きして絵本の出前口座をしていただきました。

もう十年くらい前に夫の祖母が亡くなって年賀状のやり取りも途絶えましたが、相変わらずサインはちゃんとイラスト入りなのですね♪
サービス精神は旺盛だし、子どものころのお話も、子どもたちも飽きずに聴けます。
あのころから原因不明の右手の震えが始まり、左手でお描きになっておられました。でもちゃんと描けてるのです。
子どもたちは他のひとの絵本にサインを入れるのにもうっとりと見とれておりました。

アシスタントさんはクレヨンハウスのひとかなぁ。あれからクレヨンハウスを通して講演会の依頼をお願いするシステムに変わりましたから。

「大人だって読んでもらうと嬉しいですよね」と言ってたくさん絵本を読んでいただいたことを思い出します。うちにある川端さんの絵本のほとんどにサインがしてあるのだけは自慢です(笑)。
kmyさんも世界に一冊だけの絵本を手に入れられましたね!
作家さんと触れ合うことって日常的にはなかなかないので、ホントに貴重な体験だと思います。

『うえきばちです』のダミー本、サイコーです。
そういえばあのころ最低500部の注文があれば絵本になると仰ってましたが、まだ世に出ないところを見ると出版社でゴーサインを出さないのですね…。
Posted by ヤヤー at 2011年12月16日 00:20
ヤヤーさん
さすが、詳しいですね♪ 
左手のことは知りませんでした。わたしがサインを頂いたときは両手で絵を描かれていて、「両手で描くものなんだ」と勝手に思っていましたが、そういう事情だったのですね。
年賀状もやり取りされていたなんて、羨ましい限りです。
こうやって仕事の様子を聞くというのは初めてでした。村上康成さんが主宰して毎年行っている絵本作家さんのトークライブのようです。村上さんの絵本の話などもとても面白く、絵本売り場は大人気、完売の本がたくさんありました。

「うえきばちです」は出版されて売られていました。ヤヤーさんがご覧になったのは貴重な本のようですね。この本も紹介されたとあって、コーナーでは売り切れで買えませんでした。
その後、買わなかった落語絵本なんかを図書館で借りましたが、本当に楽しい♪「はつてんじん」で子どもと大笑いしました。
Posted by kmy at 2011年12月16日 18:45
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