2011年09月04日

『犯罪』

犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社 ( 2011-06-11 )
ISBN: 9784488013363


 淡々と語られる、事実のような小説。それでいてぐっと心に残ります。犯罪を犯した人物のいきさつ、生い立ち、行動が丁寧に描かれ、その犯罪自体が奇異だとかではなく、そこにはその犯罪を犯した人間の人生が詰まっているという小説です。ひとつひとつが、ひとりひとりの人生であり、その犯罪を通して見える人間が不思議と現実的で心を動かされます。特に最後に収録されている「エチオピアの男」が気に入りました。この主人公の男が真にいるべき場所があったという、そのめぐり合わせがとても印象的です。短編なので、終わってしまったのが残念に思えました。おすすめ。
posted by kmy at 19:20| Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わたしも読みました!
「エチオピアの男」、よかったですねえ。
「ちょっといい話」どころかものすごくいい話で、ひとはどうして罪を犯すのか、考えさせられましたね。
「サマータイム」も。じぶんが「誰かのために」と思ってしていることは、ほんとうにそのひとのためになっているのかとか、まるで安い推理小説のようなトリックで被疑者のアリバイは成立するのですが、だれにでも秘密のひとつやふたつ、あるのにね、とか…。

実際にあった事件が元ネタということで、解決していないものがあったのが妙にリアルでした。
Posted by ヤヤー at 2011年09月10日 22:45
ヤヤーさん
続編があれば、絶対読もうと思う作品集でした。犯罪といっても、ひとにはそれぞれの理由があり、表面だけではわからない思いや事情があると、感じます。
犯罪をおかした人物たちの人生を辿って考えてしまうような、そんな感じで引き込まれていきました、

「エチオピアの男」、凄くよかったです。
どれもその犯罪に至る事情というのが本当に面白く興味深い描き方だと思いました。
Posted by kmy at 2011年09月11日 21:42
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