素直に「いい物語だなあ」と思いました。嫌味な感じが無く、現代的な問題から戦争まで扱っているのに、感動の押し売りとか、涙なしには読めないとか、教育的とか、そういう陳腐な仕上がりでではなく、「面白い」物語というのが先にあって、それでいて「いい話」です。朱川湊人さん、好きなのですが、「少し不思議な感じ」はなく、ちょっと違うけどもベスト3には入る話。今までで一番かも?とも思います。
主人公は典型的な現代っ子で、その場の雰囲気に合わせてみんながふざければふざけたり、もらったお金でゲーム機を買ってしまったりするのですが、それでも子どもには可能性があり、変化するしまじめに捉えることもできるという、その成長もいい感じです。離婚、給食費未払いから始まり、老人の独居と死、実際に起こった事故、災害などに触れ、そうした事故は遠い出来事ではなく、そこに関わった人々、その家族があるんだという、自分とは無関係と思っていた世界へ考えを広めていく、という内容でしょうか。近所の老人から託された「オルゴォル」を届けるということから、広がっていく世界がとても面白く、興味深く。少年ハヤトは決して善意からオルゴォルを届ける約束をしたのではないあたりにも、リアリティを感じます。大阪が出てくるあたり、親近感が沸きました。
凄くいい話で嫌味な感動は無いので娘に読ませたいと思ったものの、どうも「お母さんの勧める本は趣味が違う」と断られました……残念。これを読むと広島とかまた行ってみようかと思う気になりました。時期も時期で夏休みの読書にはいいと思うのでした。
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児童書として、いい話すぎるのに素直に感動しました。これをよんで広島にも行きたくなりました。