2011年06月09日

『眠れるラプンチェル』



 2、3年くらい前に山本文緒さんの本を結構読んで、そのときに買ったけども、一度も読んでいなかった本。冒頭の中学生とか、パチンコ店とかで入り込めそうにないと思ってそのまま置いておいたのだけど、ふと思い出して読んでみたら――これがなかなかよかった!のでした。

 猫を飼いだしたから、「猫を飼う」というという描写から引き込まれていったわけですが、相変わらず山本文緒さんの描く女性はちょっと暗い、痛い、寂しい感じ満載でした。状況としては特殊だけど、でも、その心境はわかる、という小説。ずっと変わらなかった日常が、猫によって、男の子によって、男によって、少しずつ変化していく。ただ、その変化はうまく収束するはずはないとわかっていること。悪いとか、どうにかうまくとか、そういう感情は一切なく、ただ、その時間を過ごすことがあるという日常。絶対に永遠に続くことは無いという、一瞬の時間。ただ、退屈な主婦の不道徳な恋愛と見える世界だけど、意味は違うと感じます。その時間の持つ意味、自身の心に刻まれること、そして何より自分自身が変化していくこと。そこにはやっぱり猫の存在も大きくて、意外とすっきりし、そしてラストも好印象でした。
posted by kmy at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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