2006年05月30日

野の味と『あるジャム屋の話』

オンライン書店ビーケーワン:安房直子コレクション 5
『あるジャム屋の話』が収録されています。
安房直子コレクション5 安房直子作 偕成社


 まもなく梅雨シーズンなので春ももう終わりかもしれない。春ならではの味もそろそろ終わりになりそう。先日、摘んできた「いたどり」をジャムにしました。すかんぽとも言われるこの野草は酸味があるので、皮をむいたあとに水にさらしすぎないようにして砂糖を加えて煮詰めます。(地元の方々は完全に酸味を抜いて、油いためなどで食すことが多いです)鮮やか、とは言いませんがキウイグリーンのジャムが出来上がり。ジャムを作ってみたら思い出したのが『あるジャム屋の話』

  一流企業に勤めていた「私」は会社を一年でやめ、故郷に戻ってきました。父親の一言がきっかけでジャムを作り始めます。大の男がジャムなんかこしらえて、とまわりではあまりよく思われません。しかし意地になって看板を立て、ジャム屋を始めます。
町の食料品店にでももっていけば、ジャムはすぐに買ってもらえると、私は信じていました。ところが、どうしてどうして、世の中ってきびしいものですね。どこへもっていったって、私のジャムは相手にされません。
(『夢の果て』講談社文庫 P19より)

 このジャムが売れるようになるのは、「レッテル」のおかげなのです。このレッテルをひとつひとつ手描きしてくれる「彼女」ができて……。

 安房さんの世界は現実から想像の世界へとすんなりと入ってしまいます。この物語は「私」が飲んだジャムを入れたロシア紅茶のようにほっとするお話です。

 さすがに緑色のいたどりジャムは紅茶に入れるのはよそうと思いました。繊維質も多いのでロシア紅茶には向きません。野のものを料理するというのは昔の人は当たり前だったのだけど、今こうして作っていると、どことなく自分が物語の一部になったような気分になります。
posted by kmy at 17:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 安房直子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
未読です。
kmyさんのお話しを読んでいたら、とっても読みたくなってきました。(^^)
ついでに夜中なのに、おなかもすいてきちゃいました(笑)。
Posted by ゆっこ at 2006年05月30日 23:58
ゆっこさん、コメントありがとうございます♪ 安房さんのお話はおいしそうな物語も多くて、だから惹かれるのかもなんて思ってしまいます。手作りジャムのお話はほのぼのしていて、温かい気持ちになります。
Posted by kmy at 2006年05月31日 15:51
kmyさんの記事を読んだら、この話を無性に読みたくなって、図書館で借りてきました。ついでに同コレクションの他のもの
「なくしてしまった魔法の時間」「世界の果ての国」(でしたっけ?今手元になくて。間違ってたらすみません)も借りてきました。
読み始めたら、もう止まらなくて。
「北風のわすれたハンカチ」は子どもの頃本を持っていたのですが、読み返して感激してしまいました。
「あるジャム屋の話」は小3の娘も読んで、面白い!と言っていました。影響されて、ブルーベリージャムを買ったりして・・・。
私は安房さんの作品は、あまり読んだ事がなかったのですが、
略歴を見ると50歳で永眠、とありましたが、ずいぶんお若く亡くなったのですね。惜しい感じがしました。また面白い本を紹介してください!!
Posted by Helenaヘレナ at 2006年06月12日 11:19
ヘレナさん、コメントありがとうございます。安房さんのコレクションはいつも「ほしい!」と思っているものの、手持ちの本と重なるものがあるので、なかなか購入には踏み切れないのですが、わたしも図書館で借りては読んでいます。
「北風のわすれたハンカチ」はもの悲しいようなお話ですよね。安房さんのお話には手作りのもの、作っているところなどがよく出てきて、そういうものに子どものころから惹かれました。(ジャムとか、スープとか)
50歳というのは自分が年をとっていくにつれて、まだ若かったのに、と思えてきます。
記事が参考になって光栄です。ヘレナさんの図書館での企画もいつも楽しみにしています。
Posted by kmy at 2006年06月13日 13:13
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