2011年01月08日

『かべ―鉄のカーテンの向こうに育って―』

かべ
ピーター シス
BL出版 ( 2010-11 )
ISBN: 9784776404347


 ピーター・シスという名前に聞き覚えがあったので、なんとなく借りてきた絵本でした。読んでみると凄い! 共産主義化におけるチェコスロバキアの現代史が、一人の画家が生きてきた子ども時代や日記を交えて絵本仕立てにしている作品です。共産主義を特徴付ける赤が効果的に使われていて、日常における「強制」と、作者個人としてどうこの体制と自分の折り合いをつけていくかということをイラストを通じて印象深く残ります。第二次大戦後のソ連主導による国の統制のなか、絵を描くこと、夢を持つことを忘れない作者。そしてやってきた「プラハの春」。現代史で出てくる言葉だけど、実際のところをよく知りませんでした。プラハの春で民主化が進むと思われていたところ、結局ソ連の侵攻により衰退していくチェコの様子。共産主義体制の様子がモノクロと赤だけで描かれるのに対して、自由主義的世界や統制化での夢などはカラフルな色で描かれます。


 1989年のベルリンの壁崩壊で絵本は終わります。ところでピーター・シスはどんな作品を書いていたんだっけ?と改めて作者プロフィールを見てみると、「マットくんシリーズ」でした。息子が保育園のころ好んで借りてきた絵本です。シンプルな線画に色をつけたイラストで、日常が空想によってどんどん世界が広がっていく、という楽しい絵本です。男の子が好きな消防車や恐竜、働く車などが中心になっていますが、改めて、日常から「夢」を伸ばして世界が広がるという作風の裏には、こんな人生があったんだ、と感じました。

マットくんのしょうぼうじどうしゃ
マットくんのしょうぼうじどうしゃピーター シス Peter Sis

BL出版 1999-11
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posted by kmy at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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