2010年11月03日

『ひぐれのラッパ』



 図書館に新しい安房直子さんの本が入っていたので借りてきて読みました。『とうふ屋さんの話』の中の一篇を表題として、主に動物との交流を中心にした編集。でも「ひぐれのラッパ」だけは暗く怖い感じのお話です。シリーズとして『ひぐれのお客』を刊行しているので、そちらと合わせた感じですが、この本の中ではちょっと異色かも? 全体を通じてちょっとした弾みで不思議な世界に取り込まれていく物語という編集かもしれません。冒険譚のようにわくわくするものではなく、少し怖い世界です。

 安房直子さんのお話は小学生のころに『銀のくじゃく」に出会ってからずっと好きでした。93年に逝去された記事を新聞で読んだときはあの作家さんは亡くなってしまったんだ、と思うと慌てて古書店を回り、その当時、思い出のある数冊と未読の本を購入しました。出版点数は多いのですが、絶版になったものもあったりして……。「コレクション」が近年出たときに、これで集大成になったのだろうな、と思っていたのですが、その後も絵本や童話として安房さんの本は出版されています。新しく出されている本はどれもイメージを美しく描くような、そういう装丁の本で、新しいイラストで本ばかり。描き手が表現したくなるような、そういう色彩やキャラクター、背景などは決して廃れないものなのだと感じるこのごろです。わたしが子どものころに新しいお話を作っていた作家さんは、ずっと受け継がれていく読み物として定着しているんだ、と感じています。今から読まれる方にとってはどの本で読もうという、安房さんの文章だけでなく、イラスト・挿絵を含めた作品になっているのですね。今後もきっといろいろな物語が新しく出版されていくのかと思うと楽しみでもあります。
posted by kmy at 19:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
安房さん、確かに近年絵本などでよく出だしてきました。
子どもたちに読んでほしいと思うと、その傾向は歓迎です。(「てんぐのくれためんこ」など偕成社の絵本シリーズはおすすめです)
でも、kmyさんが言われるように、安房さんの魅力は文章です。活字だけで完結する高度な作品世界だと思います。
そこにチャレンジしたい画家たちの腕前を楽しみながら、一方で活字のみの安房直子を味わっていきたいですね。
子どもたちにも、絵本は入り口としてそこから踏み入ってほしいと思うのですが…なかなか、なかなか。
安房さんに限らず、そこはあがいております(>_<)
Posted by ネムリコ at 2010年11月05日 07:37
ネムリコさん
安房さんの本は本当に好きで、よく読んでいます。娘が保育園のころからときどき読んでます。息子は興味引かないようで……女の子向けみたいなところはあるのかな、と思ってしまいます。
「てんぐのくれためんこ」きつねうどんがおいしそうで、「火影の夢」はスープがおいしそうで、森の屋のジャムとか、すずめのいなりずしとか、とにかく食べ物の描写が凄くおいしそうで! 
色彩のイメージも印象的なので、絵本から入るというのはいいのかもしれませんよね。

子どもが読みたくなるように紹介するというのは難しいですよね。ネムリコさんの切り口での本の紹介、楽しみにしています。
Posted by kmy at 2010年11月05日 19:40
安房直子さん、私も大好きです。
私は中学生の時、「まほうをかけられた舌」を読んだのが最初でした。絵本ではなかったと思います。
出会ったのがちょっと大きくなってからだったので、文庫本ばかり読み、絵本のイメージはありませんでした。
同じく中学生の時、別な作品(「きつねの窓」だったか「きつねのゆうしょくかい」だったか)のイメージを友達と絵にして紙芝居を作り、文化祭で近所の子たちに読んであげたことを、思いだしました。(イメージを絵にした経験があったとは!)
亡くなられていたのですね、安房直子さん。
93年は、まだ長女が1歳だったので、そんなニュースも入って来なかったのだろうと思います。
その長女が小学校高学年だったか中学生の頃、安房さんの作品を読ませたら、たちまち夢中になって私の手持ちの文庫本を全部貪るように読んでました。やはり女の子好みなんでしょうか。
記事で紹介された本、読んでいないのですが、新しい作品が生み出されないと思うと、未読の作品がもったいなくて読めない気がします。
Posted by 二尋 at 2010年11月09日 22:04
「まほうをかけられた舌」の文庫本、持っています♪ こちらに収録されている「青い花」が教科書に載っていて、このお話が大好きでした。色が鮮明に浮かぶ物語が多いですよね。

文化祭で紙芝居を作られるなんて、いいですよね。それが安房さんのお話なら、素敵なイラストになるような気がします。

訃報はなぜか目に付いて、その時学生でしたので、近所の古本屋を回って集めたりしました。当時買った本は、裏表紙をめくると、鉛筆書きで値段が書いてあります。今もあのお店あるかな、なんて思ったりして、結構本自体も思い出になっています。

新しい作品はでなくても、新しい本がでるって素晴らしいことだと感じました。「とうふ屋さんのお話」はご存知でしょうか? オススメです!
Posted by kmy at 2010年11月10日 16:01
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