2010年05月13日

『1Q84 BOOK 3』

1Q84 BOOK 3
村上春樹
新潮社 ( 2010-04-16 )
ISBN: 9784103534259
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


 発売日に届くように予約して購入しましたが、せっかくなのでBOOK1、2を読み直して通読したいと思い、のんびり読んでいたらもう5月も半ばです。1、2も面白かったといえば面白いのですが、『ねじまき鳥』や『ダンス〜』のほうがわたしの好みだな、と思っていましたが、BOOK3でやられました。こういう展開になるとはという感じです。

(この先ネタばれもあり)

 やはり「牛河」の章が出てくるというのが凄い展開ですね。ミステリーのように、追い求める者、追われる者が混ざり合っていく感じで緊張感が生まれ、この1Q84と青豆が名づけた世界は誰と誰に関連してくるのか、何故牛河は1Q84に関わってしまったのか気になるところです。青豆のような明確なポイントと、明らかに異なる事件の発生などがあった感じはない気がします。青豆がもともといた世界は「あけぼの」の抗争がなかったのですが、牛河のいた元の世界は銅だったのだろう?と。それは青豆の世界とはまた異なる世界なのかもしれません。
 それにしても天吾のお父さんの「説明」に関する言葉がBOOK2では気になりましたが、NHKの集金人がやってきて吐く言葉がまたどきっとさせられます。NHKの集金人という具体的すぎる職業を登場させ、その存在への居心地の悪さや粘着質な雰囲気、早く去って欲しい招かれざる客という感じが妙に心に残っては、その登場場面を読み返してしまいます。姿を見せないこの集金人は誰かというのは暗に示されている感じはありますが、その目的と意図がひっかかるような、この1Q84の世界だから出現する、ある種の警告なのか、考えてしまいます。

 本来の1984年といえば、わたしは小学生でした。そのころあったもの、なかったもの、そのころの世相などをちょっと思い起こしました。そして主人公たちと同年代のころのことなど、読んでいると、いろいろなことが浮かんできて、ふと、自分の過去について記憶をたどってみたして。村上さんの小説を読んでいると、自分についていろいろ考えたりします。

 謎がある程度のところまでは解き明かされるような雰囲気と、ラストがほっとする結末が用意されているのと、その後どうなってしまうんだと思わせる場面とがあって、小説世界のこともあの場面はこうなるのか、どうしてこうなったのか、なんてひとりで空想したり考えて見たりして余韻に浸っています。その時間がまた楽しい小説だと思いました。結局説明しないと分からないような場面は説明しても分からないということなのでしょうね。


posted by kmy at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 村上春樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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