2006年03月15日

『金のかぎ』(グリム童話KHM200)

3442004128Marchen Der Bruder
Jacob Grimm Wilhelm Grimm
Goldmann Wilhelm Verlag Gmbh 1990-07

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(ISBNで検索したらわたしの持っているのはこれみたいですが、表紙が違います……変わったのかな?と)

グリムが削除・編集などを行なって童話集を200篇としましたが、常に最後に置かれたのがこの『金のかぎ』というお話。きっと読む人ごとに様々なことを想うお話だと感じます。

water-3.gif

 ある冬のこと、雪が深く積もった日のことです。ひとりの貧しい男の子が外に出て行って、まきをそりで運ばなくてはいけなくなりました。男の子はまきを探してきてそりに積み上げてみましたが、凍え死にそうなくらい寒かったので、家にはすぐに戻らずに、まず火をおこしてここで少し暖まっていこうと思いました。そうして、雪をのけて地面をきれいにしてみたら、小さな金のかぎが見つかったのです。さて、このかぎはどこのかぎだろう。これに合う錠前があるにちがいない。そう考えながら地面を掘ってみると、鉄の小箱が見つかりました。「かぎが合えばいいなあ!」と男の子は思いました。「きっと貴重なものが入っているに違いない」。でも、探しても鍵穴が見つかりません。そうしてやっと鍵穴が見つかりました。しかし、それはとても小さくてよく見えませんでした。試してみると、幸運なことにかぎはぴたりと合いました。それからぐるりとかぎを回してみました。さて、男の子がすっかりかぎを開けて、ふたをひらいてしまうまでもう少し待たないといけませんね。そうしたら、どんなすばらしいものが箱の中に入っているのか、わたしたちにもわかるでしょう。

上掲書P597 kmy訳 

グリム兄弟没後50年以上は経っていますから原文自体は著作権が切れていると思い、自分で訳してみました。が、多少間違っていたらすみません。大意は合っていると思います。
原文はこちらにあります。Der goldene Schlüssel

water-3.gif

 男の子が雪の下からかぎを見つけ、それに合う鉄の小箱も見つけます。その中身はいったい何だったのでしょう? かぎと箱、そして中身。わからないままお話はおしまいになるからこそ、読み手が様々なものを想像するのでしょう。単に宝石やお金のようなものが出てくることを願いますか? それとも形ではない価値のある何か(追い続ける夢や開ける未来など?)が出てくるかもしれない。わからないから知りたくなり、そして想像する、それが楽しいお話です。グリム童話のラストに置かれていますが、次へと続く想像の箱を手に入れたような気持ちになるお話です。
posted by kmy at 19:23| Comment(2) | TrackBack(0) | グリム(童話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさん こんばんは。
すごいですね。ドイツ語訳なんですね。
こういうお話って、本当に想像力をかき立てられますね。
「金の鍵」という素敵なモチーフに、その鍵穴がみつかるという「ラッキー」に続けば、どんなにいいものがみつかるだろうかって、誰もが思うんではないでしょうか。
そして、その いいもの がどんなものであるのかを、読者に託したグリムさんってすごいなぁと思います。
わたしも、グリム童話 大好きです。
Posted by noel at 2006年03月15日 23:01
noelさん、コメントありがとうございます♪
中身は読者にというお話で、人によって箱の中身に思いめぐらせるあたり、とても好きなお話です。
子どものころから好きですが、よく知られているお話以外のちょっと短いお話はむむっと唸らせるような魅力があります。
Posted by kmy at 2006年03月16日 10:40
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