2010年03月10日

当番が回ってきた

 先日、「山の講」と呼ばれる行事がありました。山に暮らす人々の土着信仰で、山の神様が冬を里に来る(冬篭りのため)、また山に帰っていくというのを奉る日です。大々的に行うのではなく、地区ごとということで、十数件で行っています。この意味やしきたりがいまひとつわかっていないのですが、引っ越してきて初めてその当番が回ってきました。

 地区の山手に小さな鳥居と祠があり、その掃除をして、「はたきもち」と呼ばれる米をふやかしたものをすりつぶして笹の葉に乗せたものとお神酒を供えるようです。注連縄が落ちていたら取り替えるなどするそうですが、この注連縄は地域の方が取って置いた藁でなっているものがほとんどのようです。当然注連縄はなえませんが、秋の山の講のときに周りの縄は換えてくれたとのことですので、注連縄はそのままに、紙垂だけ作りました。

 昔は特別な行事であり、幾分高額な会費を集めてオードブルや仕出し弁当などをとり、各家持ち回りで宴会のように行ったそうです。そういうときに地域で顔を会わせてご馳走を食べ、酒を飲むという娯楽のような感じだったとのこと。昔からまわしているノート(昭和60年ごろより使用している)を開くと、当時あったお店や今空き家になっている家の主の名前などを見るのはそれはそれで興味深いものでした。近年、地区の神主さんが亡くなり、高齢化も進み、家で宴席を設けるというのが負担になってきたということで、会費は300円でお神酒とお茶菓子を祠前でいただくという形式に変わったそうです。

 しかし、以前に記事にしたように、山の講の日はお天気が悪く、たいてい外でお茶を飲む雰囲気にはなりません。一週間前から天気予報は気にしつつも、たぶん外は無理だろうな〜と思って準備をすることにしました。天気が今ひとつというときは、やっぱり各人の家で行うことになるのです。少ないとはいえ、ご近所の方10人くらいが家に来るなんて初めてです。かなり緊張です。加えてそこはやはり神様だから、しきたりが間違っていて怒られないかしらとか、そういうことも心配。ちょうど一昨年末に、祖父が住んでいたほうの家に移り、もともと住んでいた離れのような小さい家が空いているので、そちらでお茶会をすることにしました。
 田舎の方はいろいろと物持ちで、持ち回りでするのが慣れているということもありますが、わたしのところははっきりいって何もない家です。大勢の方が来て足りるようなものが何もありません――座卓とか、座布団とか、お皿とか。祖父が使っていた古い家具調こたつテーブルを物置から出してきれいにし、座布団は実家から借りてきて、ヒーターをひとつ移動させて、なんとか格好をつけました。
 当日はやはり雨。午前中にお神酒とはたきもちを持ってお参りしてきます。前日つけた紙垂は濡れて既に落ちていました。祠は開けるのかどうなのかよくわからないので、そのままにしておきました。午後になって、ご近所のおばさんたちが続々と現れます。つまみやお茶菓子を並べておきましたが、天ぷらや煮豆を差し入れしてくれたので箸や皿がいるとのこと。人数分はない小皿を並べ、箸は慌てて近所のお店で割り箸を買ってきました。次回は紙皿も買っておけばいいかも。
 お神酒をついで、はたきもちをなめるのがしきたりのようです。みなさんは世間話に花が咲き、最近亡くなった人の話、怪我した人の話、どこのお年寄りがどの施設に入っているかという話などなど……だいたい親より年の方ばかりなのでそんな話が多くなります。わたしは地元の方をよく知らないので、聞きながらお茶を入れる係という感じでした。そのうち雨も止み、お参りして帰るということでお開きになりました。お参りした後のお賽銭を持ち帰って終了です。

 終わるとどっと疲れました。山の神様はわたしの作ったはたきもちに満足していただけたのならいいのだけど。数年に一度の当番、無事終わってほっとしました。


posted by kmy at 21:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
我が家の近所にはないしきたりに、興味深く読ませていただきました。
その土地ならではのやり方があるのでしょうが、生まれ育った場所でなければ、知らなくて戸惑ったことでしょう。この機会にしきたりを覚え親交が深まればしめたものですね。

「はたきもち」なるものがどういう形をしたものなのか、ちょっとイメージがわかず、そのキーワードで調べてみたら、他県の「おはたきもち」という棒状のお餅が出てきました。
そういうものですか?
「はたきもちをなめる」というところも気になる表現です。形だけで「食べる」わけではないのか、飴のように口の中で溶けていくものなのか。
面白い風習ですね。
なにはともあれ、お当番、お疲れ様でした。


Posted by 二尋 at 2010年03月11日 22:06
二尋さん
なかなか古い慣習が残っているので、面倒でもありますが、そういう機会があるとご近所さんともお話したりします。同年代がいないのはちょっと……と思いますが(大汗)

はたきもちというものの、餅ではないですね。簡単に言えば米の粉を溶かして(つまり生です)笹の葉に塗りつけたものです。以前からこれについても作法がよくわからなかったのですが、お供えしたものをいただく感じなのでしょうか。粉が固まったものを箸で少し落として粉をなめる感じです。味もないのですが、神事ということでおいしいものでもないのかもしれません。「上手にできてる」をほめていただいたので、出来栄えは大丈夫だったみたいです。
二尋さんが期待するものではなさそうですが……。
この行事もいつまで続くのかな〜と思うこのごろ。本当に高齢化進んでます。
Posted by kmy at 2010年03月12日 18:52
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