2006年02月11日

『風力鉄道に乗って』

4652004710風力鉄道に乗って (童話パラダイス)
斉藤 洋
理論社 1990-10

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 続けて同じ作家の本を読んでしまう癖があります。またまた斉藤洋さん。挿絵は佐々木マキさん。進学教室の模擬試験に行くために新宿から電車に乗った渉くんですが、気がつくといつもの電車と違うのです。お客も車掌もどうも妙な感じで動物みたい。乗った電車は風を動力にして走る「風力鉄道」だったのです。

 風力鉄道の旅って普段の電車の旅とは違って凄くのんびり。なにしろ風任せの鉄道ですから、風が無くなれば停車。だから移動するだけじゃなくって旅そのものを楽しむことになるのです。食堂車はもちろん、普通の電車には絶対ないだろうな、という施設まで!(中身はひみつ。読んでない方のために、念のため) そして停車した場所でもお楽しみが……。本当にのんびりした旅。しかし、この物語、単に楽しい旅物語ではありません。渉くんが今まで見えてこなかったものが見えるような経験の旅でした。描く世界は非常に現代的で、そのリアリティと風力鉄道のファンタジックな側面が合わさったときに生まれる心の変化といえばいいのでしょうか、そうした部分がとても好きな物語です。

 さて、風力鉄道が運行している世界のお金、単位は1ルント。日本円に直すと1ルント=2400万円だそう(笑) もし間違って乗ってしまったとき、渉くんみたいに親切な同乗者に出会わなかったらどうしよう? ちなみに乗車券は体重50kg以下だと20ルント。渉くんの計算によると4億8000万円だそうです。
posted by kmy at 10:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 斉藤洋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kmyさま、こんにちわ!
いつも心のこもったコメントをいただきありがとうございます。
こんなに素敵なブログをお持ちだったなんて。
寄らせていただくのが遅くなってしまいました。
斉藤洋さんの面白そうな本がたくさん載っていて、目移りしてしまいそうです。
これからじっくり読ませてください。
もし、よろしければリンクをはらせていただきたいのですが・・・。
これからもよろしくお願いします。
Posted by Helenaヘレナ at 2006年02月22日 11:14
ヘレナさん、コメントありがとうございます。
図書館という場所も大好きで、その場所でさまざまな試みをされているヘレナさんの図書館の様子、本当に楽しく拝見しています。
児童書や絵本は好きですが、趣味が偏っているように感じるので、参考にさせていただいています。

斉藤洋さんの本、結末へのもっていき方も好きですが、込められているメッセージ部分にも温かいものを感じます。

リンクはどうぞご自由に。こちらからもリンクを貼らせてくださいね。
Posted by kmy at 2006年02月22日 18:34
kmyさま、最初のコメントをしてからすでに二年以上の月日が経ってしまいました。
あの頃はよもやこんな運命が待っていようとは(笑)
実は、先月図書館へ行った時、「風力鉄道に乗って」を偶然見つけ、kmyさんが紹介されていた本だということを思い出して借りてきました。
あきれたことに二年経ってようやく読んだわけですが、読んでその面白さにすっかり面食らってしまいました。
斉藤洋さんの本は「ルドルフとイッパイアッテナ」とか「ひとりでいらっしゃい」等の怪談物とか、結構図書室にもあるのですが、この本はとても斉藤さんらしいんだけど、それでいて一風変わっているというか、異色な感じがしました。
物語全体に漂うこの世離れした感じがなんとも気持ち良いです。
読み終わった時、実際に新宿駅の中央線ホームに行ってこの「風力鉄道」を待ちたい気持ちがしました。
目的地にいつ着くのかわからない、いえ目的地に着くのかも定かではない、そんな電車に乗って、見知らぬ優しい人(?)達と、どこかへ飛ばされていきたいなあ、と。
学校の図書室に早速入れたいと思ったのですが、中央線の到着駅ではあるけれど、新宿駅にも電車にもあまり縁のない子ども達にどれだけ実感してもらえるかなあ、とちょっと思いました。
Posted by Helenaヘレナ at 2008年06月23日 15:57
ヘレナさん♪
懐かしい記事にコメントありがとうございます。
最近斉藤氏の本を読んでいなかったりしますが(汗)、これはちょっと冒険的で異世界的で、挿絵が佐々木マキで、なんだかよかったです。
『ルドルフ』と『ひとりで』とはちょっとテイストが違うように感じます。『ルドルフ』は正統派と言う感じで(作者もそこを狙ったとエッセイに書いていたと思います)、『ひとりで』は実話的、この本は不思議な感じで現実とリンクしているようで、突き放した感じではなく、という構成が好きでした。
最近読んでないなあ、と。
ちょっと長くて、YAに近くて、不思議な感じがあって、あまり異世界すぎないような、そういうのを読みたいと思っていますが、なかなかぴったりの本というのは絞られますよね。
斉藤さんの本の主人公って、かなり現代っ子ですよね、わたしの子どものころとは違うなあってときどき思います。そういうのが逆にいいのかな、と思います。

Posted by kmy at 2008年06月24日 14:10
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