2009年10月14日

『夜と霧』

夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録
フランクル
みすず書房 ( 1985-01 )
ISBN: 9784622006015
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


 いつか読もうと思っていた本。最初の資料を読んでいたら、なんだか怖くなってきて、夢にまで出てきて、その凄惨さや残酷さばかりを感じてしまいました。ところが、本文は違う。もちろん、悲惨で壮絶な収容所の暮らしぶりを描いてはいるものの、そこには「生きる」とは何か、こうした状況でも人間は人間としての尊厳を忘れないでいられるのか、この状況で生き抜くというのはどういうことなのか――「生きる」ということについて考えつつ、さまざまな状況だけが人間を規定してしまうものではない、と思う本です。読んでよかった、と本当に思います。

 厳しい極限状態の中で、人はどのように変化するかということも興味深いですが、それよりも生き抜いた力、その状況でも流されないというか、心の中では自由を持てるということ。たとえそれが過酷なアウシュビッツのような状況ではなくても、こうした恵まれた現代においても、生きていくのが嫌になるときがあるかと思います。この世を憂えるときに、こんな状況でも、でも、わたしたちは生きていく、生き抜いていくんだと、そんなことも思い起こさせます。

 その殺戮や遺品の写真などよりも、このフランクルの文章を読んでいると、実際に5分後には変化する運命(よい選択に思えたことが一変して死にいたる運命)や、未来が見えない絶望などをじくじくと感じながらも、生きていくこと、美しいものを見ることなどが心に感じ入ります。この本は図書館で借りましたが、何度か読み直したい気がします。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック