2006年01月25日

ぬいぐるみという友だち

オンライン書店ビーケーワン:オットー

『オットー 戦火をくぐったテディベア』
トミー・ウンゲラーさく / 鏡 哲生やく 評論社

 この絵本とあの映画、似ていると思ったのはわたしだけじゃないはず。『イーナちゃんとテディベア』となんとなく似ている、と思うのです。
 オットーはぬいぐるみのくま。デビットへの誕生日プレゼントとして贈られます。親友のオスカーと共に「3人」で楽しい遊び・いたずらをして過ごしていました。しかし、デビットはユダヤ人。デビットは収容所へ送られることになり、オットーはオスカーの元へ。しかしそのオスカーとも戦時中に離れ離れに……。

 ぬいぐるみのクマとの別れ、そして再会という構成も似ているのですが、何より惹かれたのは「これは友だちなんだ」ということでした。
 子どものころ、ぬいぐるみは特別な日にやってくるものでした。誕生日とか、クリスマスとか。寡黙な親友という位置でぬいぐるみはいつもそばにいました。ぬいぐるみというおもちゃは特別でした。絵本のオットーも映画のノノーも、ただ飾っておくぬいぐるみや人形とは違います。そのことを強く感じるのがデビットが収容所に送られるときの場面です。クマのオットーがオスカーの元へ行くことになりますが、デビットはオットーに「オスカーを頼むよ」と言うのです。オスカーにオットーを頼むではなくて。そうなんだよ、ね。オットーにオスカーを頼むこと、わかります。オットーは人間の狭量な考えを超えて(オットーからみたらユダヤ人でも誰でも同じ人間なのですから)、思いを託し受け止めてくれる大きな存在です。本当に頼りになるやつです。子どものころ、本当にぬいぐるみが好きだったわたしにとって、その存在はとても大切なものでした。
 今、ぬいぐるみは溢れすぎてやっかいものになっています。その一因としてゲームセンターの景品のぬいぐるみがあります。ガラスケースの向こうにいる彼らを釣り上げてみたい、そういう一時的な欲望をうまくくすぐるようにこちらを眺めているんです。でも、釣り上げたときの喜び以上のものは持ち帰っていません。彼らは「景品」としてやってきて、そのままほこりをかぶって……そして袋一杯詰められてゴミの日に消えていきました。そう思うとなかなかもうぬいぐるみを買うことはありません。子どものころのように友だちになれることはもうないかもしれない、そう思うと自分がすっかり大人になってしまったと感じます。
 昔の友人を思い出すような絵本『オットー』。20代のころに欲しくてたまらなくて買ったピングーのぬいぐるみは、オットーのような友だちにならないまま、かといってゴミの日に出せるほどの非情な仕打ちはできない、親しい他人のような感じで、押入れにしまってあります。誰かにあげるのも嫌なので、なるべく見ないようにしている現在です。(ほこりがつかないようにビニールにはいれてある)『オットー』で思い出してしまいました。処分、できないです。

 イーナちゃんとテディベア ◆20%OFF!

『イーナちゃんとテディベア』
 
 似ているは似ているのですが、どちらも同じくらい気に入っています。


posted by kmy at 10:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
我が家にも娘の「ノノーちゃん」がいます。
最近はすっかりぬいぐるみ用のランドリーバッグの奥底に押し込められているようで、なんだかこっちが淋しくなるのですが…。
そんな仕打ちにもめげず、ただひたすらに持ち主を愛してくれ、どんな時も味方でいてくれる存在。彼らもまた、無条件に愛されるという幼児期に絶対必要な大切な経験を子ども達に与えてくれているのだと思うと、出番の少なくなった彼らのひとりひとりを抱きしめて、心からありがとうと言いたくなります。
Posted by えほんうるふ at 2006年01月25日 23:56
えほんうるふさんの家のぬいぐるみたち、子どもたちに愛され、そしてえほんうるふさんにも感謝されて、きっと喜んでいるでしょうね。
わたしはぬいぐるみが好きです(でした)が、うちの子どもたちはあまり好きではないようで、名前をつけて可愛がっているというのがないのです。なんだか寂しい感じがします。
以前、『かしこいビル』の記事でお話させていただきましたが、20代で買った比較的きれいなぬいぐるみはともかく、ビルばりのぬいぐるみが……どうにか処遇を考えてあげなくてはいけないのです。今年こそ、と思っています。
ひたすら持ち主を愛してくれるってなんだかいいものです。
Posted by kmy at 2006年01月26日 19:24
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。