2008年12月16日

『フランク・オコナー短編集』



 人間と人間が関わるときに生まれるちょっとした感情の動きを描いている短編集という感じでした。ときに疎ましく、ときに切なく、ときにやるせなく、ときには温かい。お互いに思うところがあり、それを伝え合うこともできるけども、だからと言って、受け入れることができないときもある。世間の常識から外れてかもしれない。でも、そういう気持ちになることがあるという、さまざまな気持ちというものを思い起こす本でした。

 気に入ったのは「ぼくのエディプス・コンプレックス」。「ぼく」が父さんに対して感じる気持ちは、戦争に行っていたころと家に戻ってきたときでは全く違うものになっていた。これまで独占していた母さんは父さんの言うなりになってしまった。何事につけても「パパと話しているの」「パパを起しちゃだめよ」と、父さんが最優先になった母さんの変化に「ぼく」は父さんがまた戦争へ行けばいいのに、なんて思うのです。ユーモラスに語られる「ぼく」と「父さん」の関係。ラストでまた変化していく「ぼく」の気持ちがわかるというか、ほっとするというか。家族の中の気持ちの変化を子どもの目線、母親の視線と気持ち、いろいろな角度から楽しめる作品でした。

 「ある独身男の話」は実際はどうなのかなあ?と気になる作品。ずっと独身を通すアーチーは一度結婚を考えた女性がいた。その女性についての出会いから別れまでを「僕」が聞くという構成。アーチーは自分の考えに固執しているけども、お相手のマッジの実際のところは裏切りか誠実か、判断が難しいところに「僕」が語るコメントがまた話を面白くさせています。

 宗教や戦争などのテーマを織りこんである作品もいくつかあいrますが、家族間の問題を扱っている上記の「僕の〜」や「はじめの懺悔」「ルーシー家の人々」がよかったです。「マイケルの妻」や「汽車の中で」「あるところに寂しげな家がありまして」は女性たちがどのような状況にあるのか、いまひとつ掴めず。また再読しようかと思います。
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