2008年10月13日

『6月31日6時30分』



 ヤヤーさんの記事中の9月31日で思い出した本。小学生のころといえば、安房直子さんの本と寺村輝夫さんの本が好きでした。安房さんの本は20歳くらいのころ、古書店で見つけて懐かしくなり、買いやすい文庫を集めたので内容もだいたい覚えています。しかし、寺村さんの本は家にあるのは3冊で、どれも王さまの本。王さまシリーズが刊行して自作を楽しみにしていたときからもう20年……他にも昔話とかアフリカの話とかを書かれていたと思いますが、ほとんど思い出せません。題名は印象に残っているのがいくつかあるので、懐かしみながら図書館で借りてきました。
 奇妙な理屈で進むお話です。「ドアはあけるためにあるのではない」「のるでんしゃからおりられない」「ママのなかにおかあさんはいない」などなど。
 かぎっ子のロコちゃんが家(団地)に帰ってくるとなぜかポレと名乗る犬がいて、ロコちゃんに不思議な理屈を浴びせかけながら、6時30分になるまでの時間を過ごすお話です。おかあさんが帰ってくる6時30分までは時間がないというのです。
六時三十分になると、はじめて、この家が家になる。つまり、おかあさんがかえってくる。やがて、おとうさんもかえってくる。ロコちゃんもいる。それでこそ家というものだ。いまは家じゃない。だからとけいはうごかない。かんたんなことだよ。」
P26

 こうしたやりとりで納得できないところもありつつも、反論するのが難しいようなポレの理屈とともにロコちゃんが過ごす時間。6月31日分の宿題の答えが届くので、この日が6月31日なのでしょうか。誕生日会が始まるのでロコちゃんの誕生日が6月31日なのでしょうか。このあたりの説明はありません。うーむ、何か変だなと思うのですが、その変なところを脱する決定的なものが見つかりません。変なのだけど、そこに飲まれていきます。 
 
 子どものころに読んだと思うのですが、おかあさんがたくさんでてくるあたりがあったなあという感じでした。だじゃれのやりとりとか、丸め込まれてしまうような理屈とか、気になって読み返したくなる話でした。

現在入手可能なものはこちらのようです。値段が張ります。でも中身が多いのでお買い得かも。
4652019750寺村輝夫の子どもは夢みる 全1冊 (寺村輝夫全童話)
寺村 輝夫
理論社 1998-03

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posted by kmy at 20:41| Comment(4) | TrackBack(1) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございました♪
kmyさんのおかげで面白い本を読むことができました。
矛盾や不条理ばかりの物語なのに、そこを楽しむことができますよね。言ってみれば「デタラメ」なんですけど、それがとても面白いのです。
でたらめをいつまでも楽しめる大人でいたいと思いました。
Posted by ヤヤー at 2008年10月14日 22:58
寺村さんの話はわけわからないナンセンスという感じでいて、不思議で妙だけど怖くありません。そこがいいのかな、と思います。
ロコちゃんも変だな、変だなと思いつつも、その世界に浸かっている感じです。
なんだかおかしな世界というのに紛れ込む、そういうのっていいかもしれません。
終わりの扉から覗くロコちゃんの絵が、「またあの世界に行ってもいいかな」という印象をうけました。
Posted by kmy at 2008年10月15日 13:42
一昨日、廃棄作業をしていたら「消えた2ページ」という寺村さんの本を見つけました。
1983年発行です。ご存知ですか?
物語の中に『大きなたまごやき』という、自作のパロディのような本が出てきます。
「はんたい学」思ったことの反対のことを言ったりやったりする、というのが出てきて、そこが『6月31日』に似ている気がしました。
妙というか、少し薄気味悪い感じが全編に漂っていて、「王さまシリーズ」しか知らない私には意外でした。

廃棄作業は、手も汚れるし、本は重いし、で、楽しい仕事とはいいがたいのですが、安房さんの『北風のわすれたハンカチ』といい、この本といい、たまに思いがけない出会いがあって、奥深いです。
Posted by Helenaヘレナ at 2008年11月14日 21:25
ヘレナさん
ブログ拝見しています。図書館の移動、大変ですよね。
今、本の移動をしていますが、自分の本だけでも面倒で重くて、大変です。
学校の本の廃棄作業はもっと大変かと思います。
『消えた2ページ』も読んだことがあります。結構シュールな話ですよね。1、2年前に図書館にあったので、読み返してみましたが、ラストがまたどこへ行くのだろう、というお話だったかと思います。挿絵が中村宏氏で、あの絵もなかなかよかったと思います。王さまの楽しい雰囲気とはまた違った感じで、古い作品はシリーズものと違ってつづきが気になる感じのものが多いような気がします。
あれ、いったいどうなるんだろう、何なのだろう?と思わせるような、終わりのないような童話がありますね。
次の記事の「ゆめの中でピストル」のほうがやや明るいかな、こちらが子どものころ隙でした。食べ物のお話も結構あります。
廃棄作業の中でも、思い出の本がでてくると楽しいかもしれませんが、とにかく大変なことだと思います。怪我などにはお気をつけ下さいね。
Posted by kmy at 2008年11月15日 20:10
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『6月31日6時30分』
Excerpt: kmyさんに教えていただいた本を図書館にリクエストしたら、思いのほか早くに届きました。
Weblog: おかめはちもく。
Tracked: 2008-10-14 22:52