2008年07月12日

不確実なこのごろ

 最近、原油高、物価高など暗いニュースが続きます。秋葉原の事件、殺人予告、一日いちにちは生きのびているけども、その先ってどうなるんだろう? 大丈夫なのかな、なんてふと思うこのごろ。
 栗本薫の「滅びの風II」のような最近。10代のころ、雑誌に掲載されていたのを読み、強く印象に残っていました。雑誌は処分してしまったのですが、以前古書で安く売っているのを見て、数年前にとりあえず購入。「滅び」をテーマにした短編集ですが、「滅びの風II」だけ時々読み返します。読んだ後暗澹という気分になること請け合いです。このごろの暗いニュースを聞くと、余計思い出してしまう作品。
4150303878滅びの風 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房 1993-02

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 アマゾンで写真出ませんね。娘が幼児のころ、カバーを破いてしまい、処分してしまいました。どんな表紙だったか忘れてしまいました。明日もう地球が滅びる、なんとかしなくては、というのではなく、もうどうにもならないかもしれない、でも明日はとりあえずあるかも、でも長くはないに違いないという、滅びへの過程が描かれています。
 この「滅びの風II」は「SCENE1・2・3」と三部構成になっていて、さらにSCENE3は中身が3部構成になっているという面白い作品で、そのSCENE3の「第二の選択」というのが、漠然と不安を煽るような、そういうお話です。
 核戦争が起こったわけではなく、異常気象、核実験、原発事故の影響で続く冷夏。局地戦争、砂漠化、緑化政策の立ち遅れで、じわじわと悪くなっていく様子を描いたものです。86年の作品。20年も前です。思えば10代半ばでこれを読んだときに、かなり恐ろしかったのですが、今読み返しても恐ろしい。
 主人公の佐伯は東京から田舎に戻る最中で、この事態について考えています。だんだんと食糧難になりつつある日本。諸外国も干ばつ、餓えのニュース。高い輸入穀物が辛うじていきわたってはいるが、若くして死ぬ人も多くなり、東京では猟奇的殺人が頻繁に起こっている。
予測されたような劇的な、空からおそいかかる急激で圧倒的な死ではなく、じわじわ忍びよっていつのかにかからだ全体にひろがっていきる、いわば老衰にも似た緩慢で抗いにくい終局を、ゆっくりと明らかにしたのだった。(P109)

 今日、世界が終わってしまうというのではなく、もうこの地球全体がだめなのかもしれないという、緩やかな破局というのを描いていて、そのにじり寄ってくるような描写が恐ろしい。ときどき読み返している作品なのですが、あんまり読むと気分が暗くなります。読まないほうがいいかも、ともよく思いますが、なぜか惹かれるのは、いつか自分たちも滅びると感じているからなのでしょうか。


posted by kmy at 20:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰です。
私たちは 明るくない地球の未来を安々と予測できる時代に生きているのですねー

件の栗本さんの本は未読ですが フィクションのつもりで書かれた本がノンフィクションに変わってゆくようで恐ろしいです。

連日サッカーにあけくれる息子を逞しく思いながら、しかしオゾン層の破壊と紫外線の影響を考えると この時勢にこどものうちからあんなに日焼けしていいんだろうか?と 疑問に思うこの頃です
Posted by めぐりん at 2008年07月18日 09:04
めぐりんさん
めぐりんさんのブログ、いつも拝見しています♪

栗本氏の本はこれくらいしか読んでません。
「グイン・サーガ」は読めなかった……。
昔も怖かったけども、今はさらに怖いのは、年取ったからだけではない気がします。

子どもがいるっていうこと、本当に希望的に感じられつつ、あと50年後とか、考えたくない気がしています。
わたしたちが子どものころ、日焼けしたってどうこう思わなかったけど、今、気になりますよね。
夏休み、プールで焼けても大丈夫だろうか?
Posted by kmy at 2008年07月18日 18:54
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